【創刊70周年論文コンテスト】優秀賞 「熊本地震による阿蘇観光業への影響と今後の発展と復興に向けて」國米 理奈古 氏


國米氏

 突然のことだった。二〇一六年四月十四日午後九時二十六分、熊本県益城町を地震が襲った。震度七を観測する大地震で、辺りは混乱の渦に巻き込まれた。その時、人々はこの大きな地震が本震ではなく前震だったことを知る由もなかった。続いて悲劇は起き、自然が再び牙をむいたのだ。この大きな地震が起こった二日後、十六日の夜中一時二十五分、マグニチュード七・三を記録する大地震が再度熊本県を襲った。

 熊本地震と呼ばれるこの地震で、甚大な被害を受けた阿蘇には、世界を代表するカルデラがあり、活動中の活火山の火口を間近で見ることが出来る場所として人気を集めている。また、「阿蘇ジオパーク」として、日本のみならず世界のジオパークに認定されており、毎年たくさんの観光客が訪れる地として有名だ。農林水産省は、農山漁村地域において自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動のことをグリーンツーリズムと定義しており、阿蘇は正しく自然に癒されたい観光客にとっての格好のやすらぎの地であったが、熊本地震によって、被災後四年経った現在もなお観光客の足が遠のいたままである。よって、この状況を打開するために何か良い方法はないか、と考えたのが本論文の原点だ。

 本稿では、熊本地震によって大きな被害を受けた阿蘇の震災前後の観光について、当事者へのインタビューを軸に取り上げ、震災によって観光にもたらされる影響がどれほどのものであるかを明らかにする。そして、阿蘇の抱える現在の問題点とそれに応ずる解決策をいくつか挙げ、震災復興に繋がるイメージ戦略について考察する。

 まず、本稿を書き進めるにあたり、観光の定義について述べる。一九九五年の観光政策審議会で、観光は「余暇時間の中で、日常生活圏を離れて行う様々な活動であって、触れ合い、学び、遊ぶということを目的とするもの」と定義された。要するに、観光とは、人々がそれぞれの自由時間を使って、日常生活圏から離れた「非日常」という世界へ足を運んで行う活動を指すと言える。

 以上を踏まえて、ここからは本稿のテーマとなる熊本県阿蘇市と熊本地震について分析していく。先述のように、阿蘇市は二〇一六年、熊本地震に襲われ、その後の観光客数の回復に時間を要している。具体的に阿蘇市での、地震による影響はどれほどのものか。筆者が同市内にあるホテル、商店街、行政機関の三者に行ったインタビューを基にそれぞれ分析する。

 まず、阿蘇市の中でも規模的に一番大きいホテルとして五十年以上続く企業である「阿蘇の司ビラパークホテル スパ&リゾート」における震災前後の観光事例の内実に迫る。同ホテルの専務である河上智法さんによると、熊本地震によってホテルが全体の六割程度被災したという(添付資料一参照=編注・写真割愛)。本格的なホテルの復旧工事がスタートしたのは、地震が起こってから八ヵ月後の十二月であり、さらに、工事終了は二〇一八年の七月と約一年半程度にわたる長期に及ぶものだった。それに伴い予約数の確保の面でも厳しい状況が続いた。震災からの三ヵ月間、観光客はほぼおらず、予約が確定していた約二万名の宿泊者がキャンセルした。震災後一期目の売上高は、震災前の七〇%、二期目に八十三%、三期目に八十二%とほぼ横ばいの状況であり震災前の状況まで未だ回復していない。

 上記のホテルのみならず、阿蘇市で有名な観光地にもなっている門前町商店街も震災の被害を大きく受けた。同商店街は、阿蘇の大通りから少し離れているにも関わらず、阿蘇市の中で最も人気な商店街だ。今回はそこでコミュニティをまとめる位置でもあり、「阿蘇はなびし」というレストランを営んでいる代表取締役の宮本博史さんにインタビューを行った。宮本さんによると、震災後、門前町商店街全体で同時オープンにしようという動きがあり、一旦再開の日を震災後一週間後の四月二十三日と決めてそれに向けて準備をした。「阿蘇はなびし」では特にインバウンド(外国人)の客層が減っており、震災前は外国人が三十二%ぐらいを占めていたのに対して、震災後は五%までしか戻っておらず、震災前と比べると未だに二十七%ほどの大きな差があるという。この状況が、売り上げにも重く影響している。

 ホテルや地元の商店街がこのように奮闘する中で、行政はどのような対応を取っているのであろうか。阿蘇市経済部観光課観光企画係、主任である松本武さんに行ったインタビューをもとにまとめていく。松本さんによると、震災時、観光課は観光課としての機能を果たしておらず、これからの観光をどうするかという活動よりも先に市民を守るという活動に回っていたという。また、観光課としての業務を震災後一~二か月経って再開したものの、市の予算はインフラの整備などから優先して使われているため、市外や県外へ観光PRをして外へ打って出ようという戦略をたてる段階まではきていないのが現状だ。加えて、観光課としてできることの限界を述べていた。具体的には、阿蘇市内をバスで回るなどのツアーを行政がやることは難しく、民間にお願いしたいといったことだ。本来であれば、阿蘇の観光施設と阿蘇市の観光課の、民間と行政が一丸となって阿蘇市の観光発展のために、お互いの不足した部分や、限界のある部分を補いながら動くことが望ましいのだろうが、今回インタビューを行って、何か一緒に動いているというものはあまり見受けられず個々での活動が目立った印象だった。

 これまで「阿蘇」と「震災」というテーマで観光に焦点を当てて、その被害について調査してきたが、最後に、現在の問題点を挙げた上で、阿蘇の観光をより発展させるために考えられる解決策について考察していきたい。

 今現在でも震災前の観光客数まで回復しておらず、阿蘇市の観光施設にとって厳しい状況が続いている理由として考えられる点が、主に二つある。具体的には、(1)地震による観光客側の安全面の心配、(2)交通の不便性(道路陥落による迂回の必要性)の二点だ。二点目の交通の不便性に関して詳しく述べると、現状として、阿蘇へ向かう際の主な交通手段である車を利用してのアクセスが震災前と比べて困難であり、道路の復旧が完全に出来ていないことが問題であると考えられる。阿蘇へ行く大動脈である国道五十七号線の立野区間が完全復旧しておらず、今年の十月に開通予定ではあるものの、震災後四年経った今でも未だに迂回しなければいけない状況が続いている。こうしたアクセスの面において、観光客から見た時に、阿蘇という土地がそれぞれの思い描く理想の観光地として不十分であると判断されてしまうことが影響し、現在の大きな問題点となっている。

 これらの問題を解決するために行える対策としては、今年の十月頃に利用者の多い国道五十七号線が開通するという情報、および、余震も圧倒的に少なくなり、安全面でも解消されているということを、道が開通する十月以前になるべく多くの媒体を通して周知させること、また必要に応じて旅行会社と連携してツアーを組むこと、などによって実際に足を運んでもらい、少しずつでも観光客が持っている観光の目的地として「不十分だ」というイメージを払拭していくことが望まれる。また、それと並行して、阿蘇市の観光をより発展させるためにできる取り組みを何点か挙げていく。

 以下、具体的に、三本の柱を立てた。(1)「観光型体験の創造」、(2)「二次交通の整備」、それから、(3)「観光業の人材育成」だ。

 まず、(1)「観光型体験の創造」だが、これは阿蘇の自然ありきの話で、さらに付加価値をつけるために、阿蘇の自然をうまく利用した観光型体験を充実させるというものだ。既存のものに追加して、もう一歩発展的な体験として農業を推薦する。阿蘇は農地が多く、農業に関連した土地が豊富にあるゆえ、この土地をうまく利用して観光に繋げられないかという案だ。近年、地球温暖化が問題になっているが、この地球温暖化の影響で、逆に阿蘇で育てられる野菜などの種類が増えたという。阿蘇が高地であることによって、作物に寄ってくる虫が少なく、農薬を使わずとも生産できるものが多いということで、ここに着目した観光型体験ができるのではないかと考えた。農業体験を伴う観光は、成功例も多い。例えば、広島県北部に位置する三次市にある「平田観光農園」は、広島駅から車で約九十分という距離にあり、決してアクセスが良いところとは言えないにも関わらず、年間十七万人ほどの来場数を記録している。同農園では百五十品種という多種多様な果物の収穫体験ができる他、調理や飲食、動物との触れ合いといった観光体験の提供を実現し、人気を集めている。上記の成功例に倣い、阿蘇市においても農業体験事業の充実によって、観光客に対して阿蘇へ来る明確な目的を持たせることで観光客数増加の切り口になると考える。阿蘇は農地が多いため、お米などを「植える」体験や、果物や野菜を「収穫」する体験を提供することが可能だ。また、平田観光農園のように、植える作物を多様化することで、年間を通して、何かしらの「農業体験」を行うことができるという付加価値を観光客に提供することができる。加えて、先述のように、阿蘇は高地であるため、作物に寄ってくる虫が少ないということで、農薬を使用せずに育てることのできる作物が多いことは、近年、健康が重視され、オーガニックという言葉も浸透してきている世の中で、他の強豪地域との差別化を図る点で有利になると考えられる。こうした活動は地産地消にも繋がるうえに、農業体験を通じて「食」に対する価値観を考え直すきっかけにも成り得る。加えて、ホテルなどの宿泊施設と農業が協力して、その日の農業体験にて収穫した食材を調理して出す、というような体制が整えば、持続的な発展が見込める観光の産物の一つとなるだろう。

 もう一つ考えられる観光型体験としては、「水」が考えられる。阿蘇は西日本一と言われるほど水の豊富な地域であるため、この資源をもっと観光に活かす余地があると考えられる。シンプルに、阿蘇の水の飲み比べも体験として行うことができるし、阿蘇の水を利用したご飯や飲み物も観光の一つとして取り入れられるであろう。具体的には、阿蘇の水を利用した水出しコーヒーなどの飲料物、阿蘇の水で炊いた白米や水羊羹などの菓子類が提案される。

 次に、(2)「二次交通の整備」についてであるが、上記のような体験型観光スポットを充実させたうえで、次に必要になってくるのが、この二次交通の整備だ。例えば、各観光施設がそれぞれの観光スポットにスタンプラリーを設置し、全て回った観光客には阿蘇の特産物をプレゼントするといった観光コンテンツを観光客に提供しているとしても、こうした場所を周遊する交通が整っていなければ、充分な観光形態とは言い難い。現状として、阿蘇地域内で観光客が自由に動こうとするには、車が必須であり、阿蘇の観光を存分に楽しむという点において、交通面に少し難がある。そこで、本稿が練った案として、各地域を回る循環バスや、各観光スポットと宿泊施設間の送迎バス、また、阿蘇市内観光バスツアーというような手段を通じて、交通の整備を行うことを提案する。循環バスの制度に関しては、金銭面でもより詰めなければならない点が多いが、百円バスのような形態にして手軽さを売りにしたり、一日乗り放題券を作ったりなどして観光客が利用しやすい環境づくりが求められる。送迎バスに関しては、観光スポットと宿泊施設が協力して、バスを利用する観光客がアクセスしやすく、提供する側の各観光施設にとってもバスを運営するという価値を感じることができるような、多方面にメリットのある体制にて行われることが望ましい。

 最後に、(3)「観光業の人材育成」について重要な点を挙げる。観光型体験、二次交通の整備の両方が整っていても、そこに関わっている「人」が良くなければ、観光客の満足度に繋がらず、観光の思い出として記憶に残り、再び訪れたいと思える場所にはならない。帰するところ、観光に携わる「人」が重要な財産であり、希望だ。したがって、観光業の人材育成には力を入れる必要がある。上記に農業体験の成功例として挙げた「平田観光農園」でも、人材育成には力を入れている。同社は、農業研修生の受け入れなどを通じて、地域外の若い人材に、栽培技術や観光農業の知識を伝授している。また、従業員に対して権限を委譲することで従業員がやりがいを持って仕事に取り組めるようにしており、これによって、より質の高い人材が育ち、経営者が思いつかなかったようなユニークな観光形態を生み出すことができている。

 上記の成功例からも分かるように、「人材育成」は観光業において重要なカギとなっていることが窺える。よって、各観光施設は、実際に働く人々がやりがいをもって仕事に臨めるような制度を整えること、福利厚生をしっかりすることなど、「人材育成」に対して、積極的に取り組む必要がある。加えて、働く人々がやりがいを持ち、充実した気持ちで接客することは、訪れた観光客に対して、より良い価値とサービスを提供できるというメリットをもたらす。これに関連した具体例として、インタビューに応じて下さった宮本さんによると、支援広場では、物資を過剰に持って行く人もいたが、自分が充分満足する環境になってはじめて周りの人に施しができるという考えのもと、個数制限は行わなかったという。このことから分かるように、自己の充足は、他人を思いやるという点において大事な役割を担っている。これが特別表立って感じられるのは震災時などの非常時かもしれないが、日常でも同じことが言えるであろう。阿蘇で観光業に携わり、働いている人々が充分に満足でき、やりがいの感じられる職場環境を整えてこそ、そこを訪れる観光客の満足度にも繋がる。そうすることで、良い口コミが広まり、新規客を獲得できる可能性も広がるうえに、その観光客自体もリピーターとなって再び阿蘇へ足を運んでくれる。このような多方面に良いサイクルが生まれるのではないかと考える。したがって、観光業の人材育成にかけるお金も惜しまずに使える阿蘇市、阿蘇観光業になればと期待する。

 このような具体案を踏まえたうえで、観光PRの一環として考えられる重要な点を三つ述べたい。(1)「阿蘇の価値の再構築」、(2)「阿蘇市の観光目的の明確化」、(3)「阿蘇市の観光地としての演出」だ。まず、「阿蘇の価値の再構築」としては、ぼんやりとした、「阿蘇=自然」という自然ツーリズムのイメージをより具体化し、観光客に対して、分かりやすく表示することで、阿蘇へ観光にやってくる目的を明確にし、観光客が実際に足を運んでみたいと思う体制を整えるということだ。

 そのためには「阿蘇の観光目的の明確化」が重要なポイントとなる。阿蘇という大自然において、癒される場所の提供はもちろんのこと、何をして癒されるのかというはっきりとした目的が必要だ。例としては、前述のように観光型体験の充実を実現させ、自然ツーリズムとしての観光形態を多様化することで、多くの自然に関連した「体験」ができる場所としての目的を観光客に持たせることが考えられる。加えて、阿蘇山の自然に囲まれて行うメディテーションツアーなどの静養としての目的を持たせるのも一つの案だ。日々都会の雑踏や混雑に紛れて過ごしている人にとっては、自然の中でのメディテーションや運動など、シンプルなことこそが精神に癒しをもたらし、ヒーリングになることが予測される。阿蘇に対しての多様な「観光の目的」を作りだすことのメリットは、そこで観光し、体験できることの種類や数が増えることで、行ってみたいと思う人々の層も広がるということだ。一方で、デメリットは、あまり増えすぎると、軸がぶれ、何を目的としていく場所なのか、というのが明確でなくなる点であり、ここは気を付けなければならない。幸い、阿蘇には「自然ツーリズム」という大きなテーマが存在しているため、それを活用して、自然を軸に様々な「観光の目的」を増やしていくことが最善の策ではないかと考える。

 最後に「阿蘇市の観光地としての演出」は、観光目的が明確化された阿蘇に対して、さらに、どのように付加価値をつけ、演出していくかというステップであり、実際に阿蘇へ来る観光客が持つ阿蘇への期待を裏切らない、そして超えていくという点において大切な演出である。例としては、明確化された阿蘇の「観光目的」をもとに、阿蘇市において一つの成功例である門前町商店街(添付資料二参照=編注・写真割愛)のような、雰囲気の統一された商店街を演出したり、観光施設の外装や内装をそれぞれの観光目的に見合った形に演出したりすることで、付加価値をつけることが挙げられる。これらをしっかりと行うことで、観光客の満足度にも良い影響を与えることができるうえに、観光地としての質も向上する。

 これら、(1)~(3)をしっかり整えたうえで、今度は阿蘇市のPRの仕方自体も、効率的な方法へ変えていく必要がある。今の阿蘇市の宣伝動画や文章をみると、ひと昔前のような手法を取っており、現代を生きる多くの人に刺さらない内容となっている。特に若い世代にとっては、どこか古めかしさがあり、阿蘇へ行きたいという感情までは揺さぶられない。よって、効果的な宣伝のために、動画を作り替えることや新たな手法を使うことも視野に入れなければならない。要するに、流行りに乗って、時代に沿ったPRをする、ということだ。

 案として考えられるのは、SNSを最大限活用した方法で、例えば人気ユーチューバーを誘致し、動画を撮りに来てもらって宣伝する、また、人気インスタグラマーに来てもらって宣伝する、というようなことだ。彼らは動画や写真を撮ることでお金を貰い生活している。いわば、動画や写真のプロだ。その方々にお願いして来てもらうことで、観光業の人々が気づかなかった新たな魅力の発見にも繋がる可能性がある。加えて、阿蘇市をそもそも知らず、興味を持つことがなかったという層に対しては、このような活動を通して認知度を高めることで興味を持ってもらうきっかけにも成り得るだろう。実際、ユーチューブで登録者数五百四十五万人を誇る東海オンエアというグループは愛知県の岡崎市を中心に活動しており、岡崎市の観光大使に任命されたことによって、岡崎を訪れる人が増えたという成功例もある。これに倣って、九州でバズっている有名人や動画・写真制作者に依頼して阿蘇へ来てもらい、阿蘇の食や文化を紹介してもらうことで、新たな観光客の層の取入れにも繋がるのではないだろうかと考える。もう一つの案として、既存の人や資源に頼らず、阿蘇市自身がある種のブランドとして、新たな「くまモン」に代わるキャラクターないしはストーリーを造り出すことで、それに関連した観光スポット・ツアーを組んで、阿蘇市への集客力を伸ばすという方法も考えられる。

 いずれにしても、阿蘇市がPR動画、及び、写真の見直しを行い、現代に見合った、反響の良いものを製作し、各メディア媒体で流すことで、その動画や写真を見た人が実際に阿蘇市へ行ってみたいと思えるような、時代に沿った効果的なPRが必要だと考える。

 本論文では、震災という人間の力の及ばない天災に遭い、そこで試行錯誤する観光業に携わる人々の実態を、阿蘇の地に絞って調査した。熊本地震から数年経った今でも、傷跡は未だに残っており、今日はコロナウイルスの影響も相まって、阿蘇は決して楽な状況ではない。しかし、取材を行って、この状況を打破するに効果的であろう様々な改善点も見受けられた。一度に全部を改善することは難しくても、一個一個、確実に改善・改良を行うことで、再び観光客の目が阿蘇へ向けられ、長丁場の努力が、既存の旅行層のみでなく新しい層の観光客をも巻き込む結果となって、阿蘇の現状をよくすることに繋がるという希望が見えた。また、インタビューを通して、震災に負けず生きる阿蘇の人々の強さも生に感じ取ることができたので、このエネルギーを集中させ、時流に合った可能性へと繋げ、観光の発展に役立てたいと切に願う。最後に、阿蘇の人々と観光客を通じた更なる阿蘇の飛躍を願って本稿を終える。

 

参考文献
<書籍・雑誌資料>
有馬貴之・菊池俊夫編『よくわかる観光学2 自然ツーリズム学』朝倉書店、2015年
王静・中村忠司編『新・観光学入門』晃洋書房、2019年
国立大学法人熊本大学『4・14 4・16 想定を超える混乱に直面して 熊本大学熊本地震記録集』国立大学法人熊本大学、2017年
<ウェブ資料>
2016年4月26日「注目される体験型観光農業:地方の集客力向上を図る観光コンテンツとして期待」みずほ総合研究所
https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/pl160426a.pdf(2020年5月22日アクセス)

2019年9月9日「熊本地震で寸断の国道57号線 20年度復旧へ」日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49582920Z00C19A9LX0000/(2020年6月28日アクセス)

2019年「令和元年発行版 阿蘇市統計資料」阿蘇市役所
http://www.city.aso.kumamoto.jp/files/uploads/2019/06/toukei20191.pdf(2020年7月13日閲覧)

2020年1月27日「阿蘇地域アクセスルートマップ」阿蘇市役所

http://www.city.aso.kumamoto.jp/kumamoto_eq/traffic/road_closed_map/(2020年6月28日アクセス)

2020年4月10日「国道57号北側復旧ルート・国道325号阿蘇大橋ルートの開通見込みについて」国土交通省
https://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_001311.html(2020年7月30日アクセス)

 

國米氏

【筆者略歴】熊本県出身。2011年3月福岡女学院中学校卒業。同年4月福岡女学院高等学校入学。12年9月~13年6月ヴィスタマリエータ高校(アメリカ、カリフォルニア留学)。14年3月福岡女学院高等学校卒業。同年4月国際基督教大学教養学部入学。18年9月~19年6月リーズ大学(イギリス、リーズ留学)。20年6月国際基督教大学教養学部卒業(夏季卒業のため6月)。

▷拡大

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第37回「にっぽんの温泉100選」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2023年度「5つ星の宿」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒