「つなぎ温泉に来ればいつでもさんさ踊りが見られます」。岩手県のつなぎ温泉は、地元住民や観光客の要望に応えて2020、21年度に地元団体による本物の盛岡さんさ踊りを温泉街の旅館で上演した。コロナ禍で演舞の機会が減った演者にとってもその技を披露する絶好の機会となった。
夏のパレードの4日間以外に見られる機会がほとんどないというさんさ踊り。この貴重な踊りをその期間以外も見られるようにした。事業は20年度に開始し、同年度に7団体が153回上演。約1万1千人が観覧した。翌21年度は4月から毎日開催でスタートしたものの、全国的な感染拡大で8月中旬から一時中止。その後、11月に毎週金、土、日曜の限定で上演を再開し、同年度に10団体が186回上演。観覧者数は前年を上回る1万4千人に上った。
盛岡広域の各地域に古くから伝わる「伝統さんさ踊り」と、誰もが踊りやすいように作られた「統一さんさ踊り」の2種類を披露。観光客から「太鼓の迫力がすごかった」、地元住民から「他地域の伝統さんさ踊りを見られてよかった」と好評だった。
上演のMCは組合加盟施設のホテルの従業員が交代で行った。上演に向けてさんさ踊りの歴史や岩手の方言について学ぶ講習会も開き、従業員の知識向上、業務への意欲向上にもつながったという。