【体験型観光が日本を変える37】顧客満足度の向上を 藤澤安良

  • 2017年8月2日

 九州北部、福岡県、大分県の集中豪雨は、死者30人など甚大の被害をもたらした。また、岐阜県や愛知県の一部でも1時間に120ミリを超える豪雨が記録された。一方で、梅雨明け宣言がないまま、全国各地で30度を超える猛暑日が続き、被災地のボランティア、イベントやスポーツで熱中症患者が続出している。熱中症対策などの体調管理は、夏を生きる必須能力である。地球温暖化問題は無関係ではないはずだが、米国が脱退を決めたパリ協定の実行を急がなければならない。

 うれしい話題もある。ユネスコ(国連教育科学文化機関)が7月9日に福岡県宗像市の「宗像・沖ノ島と関連遺産群」を世界文化遺産に登録することに決定した。日本では21カ所目となる。遺跡群を構成する玄界灘の洋上に浮かぶ沖ノ島は容易に行けないらしいが、陸側の宗像大社などは、訪れることが可能であり、今まで脚光を浴びていなかっただけに、観光客の大幅な増加が見込まれ、近隣の飲食や物産に波及する活性化への期待が高まる。

 しかしながら、4~6世紀の歴史遺産だけに現場での解説を聞かなければ深い理解は困難である。上っ面の観光にならぬように、案内する人の育成などの受け入れ態勢の整備が求められている。

 これまでに世界遺産に登録された地域も、もともと地力がある地域と、登録が契機となり、観光客が大幅に増加した地域がある。安定的に観光客を維持、増加させている地域と、年月とともに減少している地域と明暗が分かれる。減少している地域では、観光客の求めているもの、顧客満足度が足りない場合が多い。当該施設の対応力は言うに及ばず、案内ガイド、宿泊施設、飲食物産、交通アクセスなどを整備し、クオリティアップが不可欠である。さらには、商品企画力、地域連携力、プロモーション力、情報発信力が必要となる。

 過日は、出張の空き時間に東大寺、興福寺など奈良公園の一部を修学旅行以来という知人を案内しながら訪ねた。外国人の数と鹿の数のあまりの多さに驚くばかりである。大仏の鼻の孔に並ぶ人、鹿に煎餅を与える人、写真を撮る人は多いが、南大門の金剛力士像をしっかり見る人はほとんどいなかった。

 そして、JRも、近鉄も、夕方に京都行きの電車に乗る人の数が多い。京都の夏は祇園祭の祭りばやしが聞こえ、山鉾が通りに並ぶ。四条烏丸交差点近くでは5基もが一目で見られるスポットがある。その日の気温は33度を記録する暑さだったが、浴衣と団扇を持った人があふれていた。

 昨年の年間延べ宿泊者数が観光庁から発表があり、4億9249万人泊、日本人の宿泊者数は減少し、外国人が約7千万人泊と過去最高を記録した。訪日観光客数に平均泊数を乗じたら1億人泊を超えそうだが、統計が取れない施設の宿泊も少なくないことが明白である。民泊新法が定める180日の営業日数制限のみならず、騒音ゴミ、モラル、マナーなど、生活環境に与える影響に対して徹底した条件提示が不可欠である。外国人が多くて行きたくない観光地、住みたくない日本にしてはならない。

     
 
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