【体験型観光が日本を変える31】人材育成こそ大事 藤澤安良


 米国のトランプ大統領がかねてからの選挙公約通り、パリ協定からの離脱を宣言した。CO2排出量が中国に次いで第2位の国の離脱は残念であり、世界195カ国が批准しているこの時代にあって、地球あっての米国であることを理解しない判断は、世界各国はもとより、米国内からも批判が相次いでいる。

 工場や自動車の化石燃料の増加によるCO2の排出が、地球温暖化に影響しているとされる。米国の表面的な離脱の理由が、工業系の270万人の雇用の喪失と言うから古い。新しい時代の環境ビジネスにかじを切り、新しい産業での雇用を創出すべきである。

 太平洋のリゾートでも、ハワイの海岸でも海面上昇が深刻な状況。大雨洪水、台風竜巻などの甚大な被害の増加も地球温暖化が原因とされている。EU(欧州連合)に次いで排出量第4位の日本においても、極端な自然災害、海水温度の上昇による漁獲量の減少や魚種の異変が起きている。

 環境問題を踏まえ、環境ビジネスとして企業が生き残りをかけての研究を進めているのは明るい材料である。しかし、企業任せではなく、生活様式や文化として定着させていく国民的な運動に広げることが必要である。先進国として環境文化の推進が、日本訪問の魅力ともなり、観光振興にもつながる。産学官一体で環境問題に取り組む地域が増えることを望みたい。

 取手市の中学生の自殺に関して、文科省の指導があり、急転直下、市教委がいじめがあったことを認めて保護者に謝罪した。学校設立や、豊洲市場などの問題では多くの疑念が明らかにならない。政治家や官僚が守ろうとしているのは、国民ではなく、組織であったり、自分であったりということを示しているようなものである。

 これらは地方の自治体であっても同様な事例が少なくない。地方創生や観光振興はいくら金を費やしても、事業のための事業となり、徒労と浪費になっている現状を数多く見てきた。志の高い人間がいなければ、低迷する現状を打破できず、未来を拓けない。「志を高く持て」と言いたい。

 過日は、テレビなどのコマーシャルで見ない日はない、一流のはずの会社のカウンター(旅行会社ではない)でトラブルに遭遇した。案内、接客対応のレベルがとても低く、不手際がいくつも起こった。なぜそうなるのかなど、いくつもの質問にほとんど納得する返答が得られず、責任者の弁明も現場と違うなど、その場しのぎで嘘の返答まで出る始末。この会社でこのレベルなら日本中が危ういと思ってしまう。

 事の詳細は置くとして、社内マニュアルが一つ歯車が狂うと対応ができないという現状である。マニュアルは必要であるが、運用の仕方次第で禍でもある。陥りがちなマニュアルが絶対ではなく、あくまでも下限の対応であり、想定通りのことばかりが起こるわけではない。人間だからこそ、心の通ったマニュアルを超える対応が求められている。人材育成こそが体験交流の真髄でもある。

 
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