【体験型観光が日本を変える307】自然災害と人為的ミス 藤澤安良


 6月に入り、台風2号からの湿った空気により梅雨前線が刺激され、四国から東海地方の6県にかけて11回も線状降水帯が発生した。台風の暴風と重なり、大雨洪水、土砂崩れ、道路の冠水、家屋の浸水等が相次いで起こり、甚大な被害をもたらした。

 航空機の欠航や新幹線も運休になり、高速道路の通行止めにまでなった。観光はもちろん出張等の仕事にも大きく影響することになった。被災した地域の人々は「70年生きて、初めてのこと。まさかこんなになるとは思わなかった」との感想であった。

 田舎の古民家に移り住んだばかりの35歳の若者もその家屋で土砂崩れに遭遇して亡くなった。残念である。数十年ぶりの降水量といわれた地域もあり、予想外・想定外の連続である。気候変動問題への対応が後手に回っている現実がある。

 インドでは列車事故で、275人が死亡し、1100人が負傷したと発表。この大惨事の原因は列車の信号や線路を切り替える運行システムの不具合とのこと。その運行システムを管理するのは人間であるはず。何でも機械やコンピューターのせいにしては誰が責任を取るのか。
 日本でも、銀行や航空のシステムダウンは結構頻繁に起こっている。新幹線事故がないことを願うばかりである。

 鳴り物入りで登場したマイナンバーカードの保険証に他人の医療データがひもづいている等、入力ミスが多い。生命にかかわる問題なのに、ヒューマンエラーは起こるのは仕方ないとする考えは、甘い仕事の体質の証拠である。

 年金手帳でも多数の問題が起こった。しょせん他人事だと思う人間があまりにも多い。自分の命がかかっていると思って仕事をしなければ真っ当な仕事はできないし、真っ当な国にはならない。公を私物化し、己の利得を得ようとすれば公私混同となり、私利私欲である。

 社会問題や地球環境問題などの公的な問題を、自分事として公利を追求するなら、賞賛されるであろう。そのような活動を任務や仕事として与えられているのが政治家であり、公務員である。その立場が私利私欲に走らずとも、歌を忘れたカナリアなら、かわいさもあるが、何も動かないのなら税金泥棒となる。

 株は上がっても、経済の楽観はしていられない。国も地方も課題が山積している。進歩も進化もなく例年踏襲なら間違いなく退化である。観光にも同じことが言える。

 コロナ後になりつつある今、新しい価値の創造が不可欠である。やりたい、やらなければと思ってきたことに挑戦すべきであり、同じような年月の繰り返しで自己満足してはいられない。第一お客の満足度の変化に対応できなくなり、取り残されることになる。

 地域連携という言葉が世に出て久しい。地域をみんなで売ることである。体験交流型のコンテンツをみんなで売り、体験プログラムを育てることである。地元食材を開発し、生産し、みんなで使い、1次産業を育てることである。地域の生き残り戦略は、地域連携であり、地域を育てるために自分事にして行動することである。

 
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