【体験型観光が日本を変える295】「啓蟄」、人も活発に動こう 藤澤安良


 三寒四温を繰り返しながら春がやってくる。3月6日は「啓蟄」で暦の上では虫が活動し始めるころである。実際にはその前にも小さい虫は動きだしている。人間も新型コロナウイルスによる長い冬眠から覚めて活発に動きだしたいものである。

 マスクの着用基準も13日から「個人判断」とすることになった。特定の日をもって、リスクがゼロになるとは誰も思っていない。場面によっては防御の意味で要請されてもいいし、航空機、高速バス、新幹線などはしばらくマスク着用を条件とし、ケース・バイ・ケースでの対応となる。

 個人の自由じゃないかと開き直り、トラブルになるようなことは避けたい。全ては、感染者がゼロの日が継続するまでは、何らかの対策を講じながら付き合っていくことになる。

 宿泊業は客側も施設側も消毒もマスク着用も慣れてきている。レストランも大浴場も飲食や入浴時には誰もマスクはしていない。ロビーや廊下も他人との会話はほとんどない。実質的な解除に向けてもいい環境である。

 一方で、コロナ禍の3年間で教育民泊は担い手の高齢化と感染リスクも相まって、再出発に向けて、元の受け入れ家庭数の確保が難しい状況がある。そんな中でも、感染リスクを理解しながら受け続けてきた地域もあった。

 その地域からはクラスターも感染による死者も出ていないことから、立ち上がりが早い。

 世間は感染者の減少、旅行支援再開実施中、2月のスポーツ声出し応援、13日からマスク着用「個人判断」、5月8日からの「2類」相当から「5類」への移行、5月19日からの「広島サミット」の開催など、社会的環境が大きく変化して正常時に向かって動いている。

 交流コミュニケーションや共同調理が条件である教育民泊においても受け入れの条件は整いつつある。出来合い食品、冷凍食品、宅配外食などが幅を利かす食の貧困。ゲームに明け暮れバーチャルに没頭してリアリティがない自然との関わり。

 そんな中、農家や漁家に滞在し、作業を手伝い、家の回りで採れた新鮮な山菜や野菜、川や海の魚などの地域食材でつくる田舎料理を学ぶ食育、食農、魚食振興の現場である。

 祖父母の年代とのコミュニケーションが生まれ、家庭の団らんを味わい、生活が全く異なる体験をすることから、地域の人々の生き様や、命の源の食生産を担う農山漁村の役割を理解し、自らの生活や家庭や生き方を省みる機会となってほしい。

 また、家庭の温かさや家族の絆を胸に刻むことになり、人と人の心の通い合いであり、人間関係が希薄な今日、その構築能力は人に会い交流することでしか学べない。それらの教育的な課題に応えられるのが教育民泊である。

 以前に教育民泊を実施していた学校からは生徒の感涙を求めて再開の要請が相次いでいる。時代や教育現場の要請に応えなければならない。行政や地域の本気度と行動力が求められている。

 
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