【体験型観光が日本を変える293】コロナ禍後は高価値に変革を 藤澤安良


 2月20日午前7時ごろ、北朝鮮から弾道ミサイル2発が発射された。いずれも日本のEEZ(排他的経済水域)の外側に落下した。どれだけミサイルを打っても飢えに苦しんでいる国民は救えない。

 ロシアのウクライナ侵攻から1年が経過した。依然として酷寒の地で激しい戦闘が続いており、一般市民を巻き添えにした戦死者は増え続けている。誰も幸せにはならない。また、トルコを震源地とするマグニチュード7.8の大きな地震は隣国シリアも巻き込み、東日本大震災の犠牲者数の2倍に迫ろうとしている。救援物資や募金などで何かできることはないかと考えさせられる。

 日本でも新型コロナの感染者数は減少しつつある。学校や職場などの屋内でもマスク着用の義務が取り払われ任意となるなど、大きく緩和される見通しとなった。

 インバウンドの入国規制も取り払われ、スポーツ観戦も声出し応援が可能になる。さらには5月8日から感染症の「2類」相当から「5類」への移行が発表された。そして、5月19日から広島市で先進国首脳会議が開催される段取りである。コロナ前の社会経済活動に戻ろうとする動きになっている。

 そんな動きに水を差すのは、特殊詐欺事件と強盗事件が続いていることだ。ミサイル、戦争、詐欺に強盗と、人間の愚かさが目立つ今日このごろである。

 観光産業も鉄道、高速バスや航空機など旅客が戻りつつあり、巨額な赤字続きがようやく黒字に転換し始めている。宿泊業や飲食店などは廃業に追い込まれたり、倒産した組織も少なくない。今後は低次元の価格競争では誰も喜ばない。お金と時間を費やし、ありきたりの食べ物と物見遊山では浪費行動となる。

 知的欲求を満たし知識を得る教育の旅。人と出会い人と交流しコミュニケーションを活発にし、人間力を身に付ける。人の技や知恵や生き様に触れる人に学ぶ旅。自らが挑戦し体験し感動することにより、心を高める旅。食事もその地でとれるもの、その地でしか味わえないもの、農林水産業と密接につながることで鮮度と旬も味わえ大きな価値となる。

 地産地消、身土不二、田舎の郷土料理。世界無形文化遺産の和食が絶滅危惧種になりつつある。和食復活の旅。何を見るのかから、何をするのかになる。

 また、体験プログラムやガイドツアーと連携し滞在期間中の目的提案を行う必要がある。そしてゆったりとした時間を過ごせるように連泊滞在キャンペーンを推奨すべきである。

 旅先の居酒屋で顔見知りの女将とカウンター越しに酒と料理談義をしていた。当地ならではの地酒と珍味がそろう。私の評価では真っ当な店である。商品名になじみがなく、説明がなければ正体が分からない。

 過日は同じホテルに泊まっているという1人飲みの男性も巻き込んで、郷土の食と酒を解説しながらいろいろ勧めた。「今夜はいい人といい食に巡り合えた」などと、とても喜んでくれた。

 良い店と宿泊施設の連携も大いに進め、コロナ後の観光業界は高価値に大きく変革すべきである。

 
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