【体験型観光が日本を変える277】天高く…に思う1次産業の行方 藤澤安良

  • 2022年10月10日

 10月というのに残暑が厳しい日がある。しかし、朝夕は秋らしい気候となってきた。

 「天高く馬肥える秋」の始まりに、高度1万メートルを越える上空の航空機から日本の地方を見ると、実りの秋ゆえに黄金色一色かと思いきや、黄色と緑のパッチワークのような光景を目にする。稲刈り前の黄色の田んぼと転作奨励で大豆など他の作物に転作されたり、耕作放棄地となり雑草が生い茂っている緑である。

 1次産業の生産効率や生産者所得が上がらない中にあって、労働者や後継者不足が追い打ちをかけている。されば、食料自給率が上がらないことは当然である。

 若者の志向が1次産業の3Kは嫌われ、映像は4K8Kへと進む。仕事は、ゲームプログラマーやユーチューバーになりたいというが、誰かが食料生産をし続けなければ食料危機は日本にも訪れる。他人事でも絵空事でもない。

 大もうけはしないまでも、もうかる1次産業でなければ若者が後を継ぐはずもなく、田舎で暮らそうともしない。日本の1次産業は衰退の道をひた走り、それはそのまま地方の衰退に他ならない。

 防衛予算が増え続けているが、武器弾薬はあっても食料がなければ滅びる。過去の戦争で痛い目にあっており明白である。幸いにも、都市の若者の男性の約半数が田舎に住みたいと思ったことがあるという統計がある。残念ながら、現実になりにくいのは、容易に望みの仕事がないこと。

 そして、住居の問題である。空き家は多いが日本の風土として借家や売却には至らず、廃墟となり朽ちるまでになってから、早く何とかすればよかったと後悔を繰り返している。救いは、田舎への移住希望者の中には農業をやりたいという人も少なくないことである。

 こちらも、周囲に農業をしっかり教えてくれる人がいなければ高い確率で失敗する。作物が生育せず枯れたり、実が小さかったり取れ高が少なかったり、作物が病気にかかったりなど、失敗すれば収入はもちろん、自分の食べる分すら確保できない。そんなリスクを回避するためにも、地方に新規就農者のための農業実践学校が必要になる。

 過日も、地方で、地域課題を参加者でどうすれば解決に向かうのかを議論する機会をつくったが、地域に直面した多くの課題ですら共有も議論も考えることもしてこなかったという。ましてや、現場に直面していない都市住民や児童生徒学生の間ではなおさら話題にもならず、しょせん他人事である。

 しかし、地球温暖化がさらに進み、気象変動に対応できなかったり、外交的な有事が起これば、食料問題は無関係ではいられない。1次産業の課題はそのまま田舎の課題ではあるが、何倍にも増幅して都市部から日本や地球の問題となる。大きな政治課題である。

 SDGs(持続可能な開発目標)は、地球の一員として地方の課題を自分事として自分なりに何ができるかを考え議論し行動することである。教育旅行はもちろんのことだが、企業組織も一般社会人も既存の物欲的価格競争商品から、SDGsを旅行の定番とすべき時代になっている。

 
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