【体験型観光が日本を変える268】キャンセル料の在り方 藤澤安良


 思わせぶりな梅雨明け宣言の後に、各地に大雨をもたらした戻り梅雨もいなくなり、本格的な猛暑の夏が訪れ、学校も夏休みとなった。都内の中学校では林間学校のピークを迎えている。過去2年に比べ実施できているだけでも良しとしたい。

 ここにきて、新型コロナウイルスの感染者数は全国的に過去最高を連日のように更新しており、東京でも3万人を超え続け、7月23日は全国で20万人を超える結果となった。

 変異株BA・5への置き換わりが進む中にあって、従来型より感染力や重症化率がやや高いのではないかともいわれており、これだけ分母の感染者が増えると、物理的に発熱外来や医療機関の病棟など逼迫(ひっぱく)することは容易に予測できる。その上で、あれだけやり玉に挙がった飲食店は深夜まで営業している。

 まん延防止対策も緊急事態宣言も行動制限やそれに代わる注意喚起のメッセージもなく増え続けている。感染者は国会議員もタレント、アナウンサー、世界陸上の選手、プロ野球選手と感染者が続出しており、歯止めが利かないような状況にも思える。

 私も、全国各地へうかがうことが多い中で、過去2年間は直接口にしないまでも感染者数が多い東京からの講師は敬遠されたり、地方で多数の人が集まることにも懸念があった。現在は、現地での参加予定者自体が感染して実施ができない状態である。

 それに伴い、航空座席のキャンセルを余儀なくされるのだが、キャンセル料は免除されなかった。感染症の分類で2類か5類か、行動制限すべきか否か、その間で過去最高の感染者数を更新し続ける中、キャンセル料は交通機関や宿泊施設が被るものでもないが、お客が悪いわけでもない。

 とりわけ、保護者の心配が大きい学校での教育旅行は、こんなコロナ禍で実施が難しい旅行のキャンセル料は払うつもりもなく、受け入れ側は予約によりあらゆる準備をし、空いた日の再販も容易ではないことから、キャンセル料はビジネスの常識で、また権利でもある。

 中に入っている旅行会社は、お客が出してくれない限り原資があるわけでない。つまりは、誰もが原因の元凶であるわけがない。2相当類に定めている以上は国家で対応すべき事象である。

 Go Toトラベルや全国旅行支援は業界にとって起爆剤になる有難い政策だが、国家のお金が大量に動く時、架空や虚偽の手口で公金不正受給を行う輩がいることも分かっている。その手前や狭間でのキャンセル料を含めて多くの問題課題にも遺漏無きよう対応しなければ、国家の信用が得られないことになる。

 経済の先進国としての日本の将来を危惧している。成熟した先進国とは、地球環境問題や教育や社会生活など、隅々細かいところにも気配りができる知恵と心がある国のことである。今日も、これからSDGsの旅行商品造成について旅行会社に提案する予定である。

 旅行業界も地球や社会を人間を見据えた、もう一段高いステージでのビジネスモデルに転換する時である。

 
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