【体験型観光が日本を変える266】安倍元首相の死亡に驚き 藤澤安良


 参議院選挙も終盤に差し掛かった8日、安倍晋三元総理が凶弾に倒れ亡くなるという前代未聞の事件が起こった。拳銃所持が許されていない安全な国のはずの日本で、このような事件が起こったことは驚きであり残念である。

 警察の発表はどうあれ、誰が見ても不審者が背後から近づき、40センチも黒い物体を元総理に向けた段階で気づかなければならない。警備についても日本の安全神話に過信があったのではないかと思われる。動機も想定外であっただろう。

 犯行に使われた銃は、部品などをインターネットで購入した犯人の手製であったというからそれも驚きである。銃が手に入らなくても、材料や製造方法など、さらには元総理の動向まで何でもネットから入手できることは便利な半面、大きな危険と落とし穴があることになる。

 拳銃の所持が可能な米国では何度も無差別乱射事件が起こり、過日は何人もの警官がひとりの容疑者に向けて発砲し、60発もの銃弾が命中していたというから、人権は全く無視された、行き過ぎでは済まない非人間的な行為である。米国では銃社会の在り方が根本的に問われる事態となっている。

 銃があろうと、造ろうと思えば簡単ではないにしろ造ることができたとして、銃口を生身の人に向けるのはやはり人である。ネットも悪用するか否かも人間である。人命に勝るものはないにしろ、日本では今、男女関係、親子、通りすがり、誰でもよかったなど、容易に人命を落とす事件があまりにも多い。

 参議院選挙での争点は、経済、給料、コロナ対策、安全な保障、社会福祉、教育など、たくさんあった。直接目には見えないが、後に事件として現れてしまう事象の原因を蔑ろにしてきた。

 事件が起こっても動機が判明しても、二度とそのような動機で同じような不幸が起こらないよう対策や啓発が行われたのかは疑問が残る。

 政治家も選挙戦の下から目線、当選後の上から目線が多い。雄弁多弁であっても、なかなか人間性や人間力の高い人は数少ない。人の心の闇に立ち向かうこと、人の心に寄り添うことなどが蔑ろにされている。

 過日は大手情報通信システム3915万回線が不通になった。それにより、個人の日常は当然ながら、気象、医療現場などインフラにも大きな影響を及ぼした。梅雨らしさがなく6月から猛暑が続き、電力不足が取りざたされており、電力と情報通信に頼りすぎている社会が存在する。それらが停止したらどうなるのかと心配は残る。

 便利な情報通信や家電製品、便利さの陰で「体も頭も心も」動かすことが少なくなっている。人間は便利さの中で退化していく道をたどってはならないはずである。

 不便や大変さを体験すること、頑張って生き抜いている人と話すこと、別の環境に身を置くこと、インスタントでもデリバリーでもなく、出来合いの総菜でもなく、産地で新鮮なものを教えてもらって調理し一緒に食べる。それが人の心を高めることになる。人間が進化する道筋である。そして新しい旅の姿である。

 
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