【体験型観光が日本を変える234】衛生パスアプリの開発を急げ 藤澤安良


 コロナ禍で行われた衆院選は1年10カ月にも及んだコロナ対策の是非や、来てほしくはないが第6波に備えた医療体制整備、コロナ後を見据えた社会経済活動の復活などが当面の課題となって選挙戦が戦われた。

 耳障りの良い話ばかりではなく、2年にわたってのコロナ対策での財政出動が加わり、国家財政の赤字は1200兆円を超えており、このままいけばさらにその赤字を増やすことになる。そのツケを次世代に残す結果となる。医療と経済と財政の立て直しを図らなければならない。選挙後の政権の重大な課題でもある。

 ツケを先送りするだけの政治家ではなく、耳の痛い話を逃げずに真正面から挑む政治家が求められている。日本の新型コロナワクチン接種率が70%に近づき、欧米に追いついたこともあり、全国的に減少傾向となり、東京の新型コロナ感染者数も2桁が続いている。

 そんな中、感染防止徹底宣言ステッカーなどの対策優良飲食店では時短要請も解かれ、いよいよ、飲食店に活気が戻るのではないかとの期待が膨らむ。

 しかし、長きにわたって、コロナ禍の中で、家飲みやオンライン飲み会の普及、持ち帰り弁当やデリバリー食品への傾倒、スーパーやデパ地下の総菜、冷凍食品のクオリティアップなど、大きく生活様式が変わったこともあり、一気にコロナ以前まで戻るかどうか、なかなか容易ではなさそうである。

 他国はどうなのか。ワクチン接種率が日本より高い英国ではここにきて感染者が1日5万人を超え、10万人になる可能性があるともいわれている。そんな状況の下で、マスクをしている人はほとんどいなかったり、3密回避の意識も少ないという。しかし、死者がほとんどいないことから規制解除は続けるという。

 フランスはワクチン接種済みや検査陰性のEU加盟国全部で使える「衛生パス」のアプリを開発している。ない人は、その場で検査が容易にできるシステムも整っている。

 日本では、いろいろな場面での実証実験が行われ、その結果で、観光、運輸や飲食店イベントなども大きく動きだすことになる。第6波が来ないように、万全の感染防止対策をしながら動かした方がいい。

 とりわけ観光分野においては、ワクチン2回接種のアドバンテージと抗原検査キットでの検査を容易にし、衛生パスアプリの開発を急ぎ、動きださないと秋の行楽シーズンは終わってしまう。

 過日もある観光地で多くの生徒たちに出会った。修学旅行の代わりの日帰り遠足だという。修学旅行なら日程も長く何泊かの宿泊が伴うが、旅行業界は売上額において大きな差となり、当然、経営環境はよくない。海外は無理としても、行き先はともかく、通常の宿泊日数を確保した国内の修学旅行の再開を急ぐべきだ。

 それには、生徒児童のワクチン接種が理想ではあるが、抗原検査陰性での出発で受け入れ地が容認するための、医療体制、検査費の公費負担、教員、保護者、受け入れ地などの意識醸成も必要になる。新政権の大きな成果が伴う重要課題である。

 
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