【体験型観光が日本を変える229】抗原検査キットの活用を 藤澤安良


 自民党の総裁選挙が告示され4人が立候補し、骨子となる政策を掲げて論戦が繰り広げられている。4人4様ではあり、今までなぜ同じ党にいながらそれらの政策が実現しなかったのだろうと疑問が残る。国民のためになることがほとんどであるなら、誰がなろうと速やかに実現してほしいものである。

 新型コロナウイルスの新規感染者は減少傾向にあるが、依然として重症者や死者数は予断を許さない状況が続いており、東京都は死亡者が相次ぐ自宅療養者などの軽症者の悪化を防ぐために、酸素・医療提供ステーションなる施設を築地や調布市の味の素スタジアムに開設した。遅きに失した感は否めないが、今後を見据えた時に有効な手だてである。

 デルタ株はワクチン接種2回済みの人でも、効力が徐々に低下し感染しており、いわゆるブレークスルー感染と呼ばれている。それらを受けて、すでに他国で始まっている3回目接種の動きがあり、日本でも必要との見解が出されている。どうやら、新型コロナとは長い付き合いになりそうである。

 そんな中、行動制限緩和の議論に注目が集まる。米国では2回のワクチン接種と当日のマスク着用で「ライオンキング」の舞台を劇場で見られることになった。

 行動規制が厳しいシンガポールでは2回目のワクチン接種が8割を超え、8月10日から飲食が5人まで可能となり、各家庭に抗原検査キットを配布するなど、ワクチンと検査陰性を条件としつつある。

 日本でも政府はワクチン2回接種を柱に11月をめどに何らかの行動制限緩和ができないかと検討が進んでいる。政府は希望する国民にワクチンの接種が終わるタイミングを見計らう必要がある。しかし、民間事業者の中にはそれらを待ちきれないというより、すでに経営や経済の限界となっている業種業態も少なくない。

 ワクチン接種が万全とはいえないまでも、少なくとも非接種者よりもアドバンテージはある。ワクチンのみなら不平等な条件となるが、検査陰性といずれかの条件が整えば行動制限の緩和は行われるべきである。

 すでに優遇措置や特典なら問題はないことから、宿泊業者の中には2回接種者に宿泊料金10%割引を打ち出したり、美容院では500円割り引いたり、和菓子を一定額以上でサービス商品が付いたり、社会経済復活に向けて顧客拡大のためのさまざまな工夫が始まっている。

 人流の制限があるとする中、鉄道やバスは走り続けており、航空機や長距離高速バスは減便し稼働している。旅館・ホテルなどの宿泊施設もほとんどが稼働している。ある国内線の搭乗率は65%であった。すなわち、すでに緩やかに動きだしている。

 安全な人まで長期にわたって行動制限するのではなく、安全が担保された人は社会経済活動の対象としなければならない。ワクチンも当然であるが、検査体制の拡大にかかっている。1年3カ月前から提唱している安価になりつつある抗原検査キットを大いに活用して、検査陰性で観光産業を復活させるべきである。

 
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