【体験型観光が日本を変える210】緊急事態宣言、何回出せば 藤澤安良


 新型コロナウイルスの感染者は全国各地で増え続けている。中でも、感染力が強く若者にも感染しやすい変異株に置き換わる比率が上がっている。病院に搬送できず、長時間の待機を余儀なくされたり、自宅待機中の死亡者が相次ぐなど、特に大阪は医療体制の逼迫(ひっぱく)から崩壊に向かっている。

 政府は東京都、大阪府、兵庫県、京都府を対象に、東京都では3度目となる緊急事態宣言を発出した。ゴールデンウイークの人流抑制を意識し、すでに出ているまん延防止等重点措置に被せる形で4月25日から5月11日となる。

 少なく見積もっても3週間と言われているが、重点措置から続いているとはいえ、今回の緊急事態宣言は17日と短期であり、経済との兼ね合いだともとれるが、医学的科学的根拠が示されず納得できる説明がない。

 多くが東京だと思うが、千葉県にある東京ディズニーリゾートは休業しない。東京ドームと神宮は無観客、横浜、千葉、所沢は有観客。売り場面積千平方メートル以上のデパートは休業要請が出ているが、そんな小さいデパートはあるのか。パチンコ屋は大小かより混雑か否か、対策が徹底できているか否かである。

 細かさと大雑把が混在している重点措置が出ている間でも、ニュース映像を見る限りにおいては、人の流れが減った気がしない。さらには、飲酒を伴う飲食店の休業や時短要請により、夜には、路上や公園などで立ち飲みをする人々が多い。

 終電を少し繰り上げる程度ではなく、終電時間を21時にするような、強い措置を取らなければ発令する効果は少なく「緊急事態」という実感は乏しい。また、繰り返しになり、終わりが見えない。

 医療体制の逼迫など同じ課題が1年前から続いている。また、コロナ禍での失業や減給あるいは自粛疲れなどが原因ではないかと言われている中、児童虐待が10万件を超えた。家族が一緒にいる時間が増えている中で、互いがより良い時間を過ごせる好機のはずが、ストレスに負けてしまっている状況である。

 一番の課題は、慣れとストレスなどの住民意識であり、それ以上に政治家が覚悟を示さない限り、国民が動かない。政治家は国民に対し納得できる説明と、強いメッセージを発することを期待したい。

 都市と地方の格差は広がるばかりの今日、感染者が少ない地方の田舎町では、例年より早い初夏のような陽気で、新緑の時期を迎えており、絶好の行楽日和が続いている。大自然でのトレッキングや開放的な露天風呂などの目的地での動きも、航空機や新幹線あるいは高速バスも3分から6分以内に換気ができるとしている交通機関も、感染拡大やクラスターが発生していない。

 同居家族とのマイカーによる移動なら、家の中で過ごしているのと大差はない。都市に付き合わされて行動の制約を受けるのは不合理である。

 発生から1年半になる。あるはずの多くの統計を活用し個別詳細に無駄な経済損失を生まない政策を打つことが必要である。検査陰性で行動の原則を徹底すべきである。

 
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