【体験型観光が日本を変える 92】EXPOジャパンで思うこと 体験教育企画社長 藤澤康安良

  • 2018年10月10日

 訪日外国人が3千万人になろうとしている。そんな中、今年も「ツーリズムEXPOジャパン」が開催され、過去最高の20万7千人を集めた。トラベルマートの部門では外国人バイヤーと日本のセラーによる商談会が組まれた。

 昨年、この紙面でことの顛末(てんまつ)や外国人マーケットの志向などについて掲載した。今年は20年にわたって体験プログラムや宿泊施設、ホームステイ等の体験型観光商材をコーディネートしている南信州観光公社の役員として、2日間のみであったが、ヨーロッパやロシア、あるいは北米などと15商談をした。昨年にも増してバイヤーの反応はすこぶる良く、まさに体験型観光のニーズが拡大していることを物語っている。

 セールスポイントは美しい自然、郷愁あふれる原風景、田舎体験、日本の歴史と伝統文化、さらには、体験プログラムのインストラクターやガイド、あるいは民家ステイホストファミリーなど多くの人々との交流コミュニケーションが大きな魅力であり、われわれが提供できるコンテンツであり求められているニーズそのものである。

 民家ステイ等の食事についても、地産地消を徹底した田舎料理・郷土料理の和食しか提供しないとしているわれわれの理念をそのまま認めてくれることとなった。日本の観光旅館や都市のホテルの食事にあまりにも地域色や特色がないことが起因している。特に朝食バイキングは金太郎飴料理である。

 食事を見るたびにどこを旅しているのか分からなくなる日が続いている。そのほとんどが料理人が手を掛けない、味付けもしない、出来合いの工業製品である。焼き魚もノルウェー産のサバ、チリやノルウェー産のサーモン、だし巻き玉子、温泉もないのに温泉玉子、ひじきの煮物、インゲンやオクラの胡麻和え、筑前煮、ポテトサラダにマカロニサラダ、ウインナーソーセージに肉団子など枚挙にいとまがない。

 和食の腕は茶わん蒸しのレベルで推し量れるが、それまでもが湯をかけるだけでできるものまで存在する。宿が変わっても連日同じ味に出くわすことになる。

 旅館・ホテルの料理人自らが山菜を取りに出掛けたり、農家で米や野菜の調達交渉に出向いたり、漁師や地元漁協から納入してもらえるシステムを構築するために行動する必要がある。料理人は少なくとも食材を吟味するところから関わらなければならない。

 出入りの食材納入業者とつるんでバックマージンや過剰接待を受けるなど健全な関係ではない現場に何度も遭遇している。訪日外国人が増え続ける中で旅館・ホテルの食に対する裏切りともいうべきこのような体たらくはいずれ敗者になるはずである。

 宿泊施設や居酒屋、スナックなどが地域を思い、愛し、地域の農林漁業をはじめ、あらゆる産業と連携してこそ、地域の活性化につながる。日本にも地方にもありのままの「らしさ」が求められている。それこそが地方創生である。

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