【体験型観光が日本を変える 71】人間関係の構築能力を 藤澤安良


 4月というのに夏日が続いた。暑い関西での仕事が続いた。大阪の道頓堀や難波でも、京都駅や河原町でも、多くの観光客でにぎわっていた。見た目には外国人の方が多いように感じた。日本は外国人にとってあらゆる面で評価の高い国である。そんな外国人の信頼も失いかねない問題が相次いでいる。

 レスリングの監督のパワハラ問題がしばらくマスコミで報じられていた。その後、財務事務次官がセクハラ問題で辞任した。内容が本当ならアウトと言った大臣が、音源が出てきても相手が名乗り出ろと言わんばかりの財務省のコメントを擁護した。相手が誰であろうと、その発言が擁護されるような内容ではなく、ましてや国家の重要ポストにいる人物が発した言葉としてはアウトである。また、その事実を否定するなら、濡れ衣で辞めることとなり、それは不可解である。

 働き方改革が議論されている中で、労働時間や賃金の議論のみならず、セクハラのない職場環境も重要な要件である。男女の関係では、相手が傷つかない、不快に思わない言動がどこまでなのか、関係性により受け方や取り方が異なることは言うまでもない。米国では具体的な事例を挙げて、やってはいけないことなどの詳細を例示している。この機会にわが国でもいったんは基準を明確にすることが必要である。

 在宅ホームステイ型の民泊でも、一般家庭で生徒を預かることから、セクハラにならないように留意することは、研修会などで徹底すべき重要課題となっている。大変デリケートで難しい問題なのだが、避けて通れないことなので、体に触れたり、男女や性に関する話をしないことを徹底している。遵守している場合はトラブルにならないが、少しぐらいはいいだろうなどと、自分の都合の良い物差しを持つ人が問題になっている。ハラスメントの物差しは相手が持っていることを理解することから始めなければならない。

 人間関係の難しさはいろいろな事象に現れている。20代の男性の53・3%が恋愛していなかったり、女性との交際経験がなかったりという。結婚年齢は上がる一方、結婚する人の数は減る一方、離婚するカップルは増える一方である。また、39歳までの引きこもりが54万人にも達している。わが国の労働人口にカウントされないことになる。親から虐待された人数が13年連続で増え続け、6万5431人にも上った。親が子を守らずして誰が守れるのか、親子の関係まで危うくなってきている。

 物の豊かさの影で、便利になり続ける社会で、人間関係構築能力を置いてきぼりにしてきたようだ。人間関係を学ぶのは机上学問でも偏差値でもない。スマホでもゲームでもテレビでもない。生身の人間同士が交流し、コミュニケーションを行うことによって育まれる。そんな機会の拡大こそが急務である。物見遊山から交流の旅へ、見学から体験の旅へ、都市から豊かな自然と人情にあふれる田舎へ、人との出会いと体験交流が日本を変える。

 
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