【体験型観光が日本を変える 174】動き出したGoToキャンペーン 体験体験教育企画社長 藤澤安良


 熊本南部を襲った豪雨は球磨川を氾濫させ、その後、九州北部でも筑後川が氾濫し、記録的な豪雨は九州から東北まで全国各地に広がり、57河川が氾濫したという。死者や行方不明者も多数に上り、甚大な被害をもたらした。

 猛暑が迫り、コロナ禍の最中で避難生活や、復旧活動は大変であろうことがうかがえる。自衛隊も消防も行政機関もボランティアも総動員しての、一刻も早い復旧復興を期待したい。

 全国的な広がりは、豪雨だけではない。新型コロナウイルスによる感染者数は、検査数が増えているとしても、7月に入り全国で1日400人を超え、東京は連日200人を超えている。また、沖縄の米軍基地での数十名に及ぶクラスター発生は、世界一の感染者数の米国から直接出入りするとあって、起こるべくして起こった。観光県沖縄にとって大きな痛手となりそうである。

 地方でも収まりかけていたかのように見えた感染者数が再び増え始めている。世界に目を向ければ、米国やブラジルの感染は毎日数万人単位で増え続けている。

 当初、感染者が増え続けていた東京と似た人口のニューヨークはこのところ新規感染者が減りだしている。1日の検査数が6万6千人と多く、グーグルマップで検索すれば最寄りの検査場所が分かり、PCR検査も抗体検査もいずれも3分で無料で受けられるシステムが構築されているとの報道もあり、日本でも検査体制の早期拡大が必要である。

 イベントも5千人規模から拡大の様相である。野球が観戦客を入れての営業が始まった。一方で「Go Toキャンペーン」の取り扱い組織が決定し、さっそく7月22日からのツアーから割引対象になるなど動き出した。

 需要喚起キャンペーンがコロナ感染拡大キャンペーンになってはならない。政策の汚点が残ることになる。観光関係者の経営状況は厳しく、倒産した宿もドライブインもあることは身近で見ているが、感染者が増え続けているこの時期は警戒心も強まり、旅へのモチベーションが上がらない状況ではある。あるマスコミの調査で今旅行をすることに87%が不安であると答えている。

 また、医療体制が逼迫(ひっぱく)している状況にないようだが、危機的状況を伝えている。医療体制は都市部を中心に語られるが、いまだ1人も感染者がいない地方の町は、医療体制どころか一度も感染者に対応したことがない医療機関がほとんどである。安心・安全確保には、当初より言い続けているが、旅客や関係者がPCRまたは抗原検査等で陰性であった人のみ旅行できる体制整備をすべきである。「陰性証明書」が国内でのパスポート代わりになる。

 そうなれば、Go Toの時期が早くとも、検査システムの拡大により、いったん不安は払しょくしつつ、安全対策ガイドラインは順守することを怠らず、行動することで、受け入れ側の理解も得やすい。経済も旅も安心・安全の確保が最優先でなければならない。さらには、赤字になっているコロナ対応病院と検査体制拡大に財源を投入すべきである。

 
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