【体験型観光が日本を変える 161】緊急事態宣言は発令されたが 体験教育企画社長 藤澤安良


 新型コロナウイルスの感染者は首都圏全域から日本全国に拡大し続けている。日本で最も幅広い年齢層から支持され人気を集めていたコメディアンの志村けんさんが、そのコロナによる肺炎で亡くなった。つい数日前にもテレビで活躍している姿を見たばかりであり、にわかに信じがたい状況である。

 朝ドラや主演映画、あるいは聖火ランナーまで予定されていたとか。いずれも活躍がとても楽しみだった。発症からわずか1週間であり、改めて、強い感染力と急激に重症化するという怖い敵である。われわれの年齢に近い70歳という大変惜しまれる年齢でもあり、残念である。

 感染が広がる欧米を対岸の火事としてとらえる余裕はもうない。帰国者の感染者も多く、ニューヨークのように火だるまになる恐れがある。

 若者は軽症で終わるというイメージが先行し、不要不急の基準も「3密」の場面、あるいは夜の接客型飲食店やカラオケなどのクラスターの可能性が高まる中、自己判断をすることとなるが、相対的に若者の3密の外出が多く、認識と良識が甘いといわざるを得ない。

 予見とは裏腹に若者の感染者も増え続け、16歳の死亡者も出てきており、若者にも油断をするべきではないと警鐘を鳴らしている。

 東京の1日の感染者が遂に100人を超えたが、政府は4月7日に緊急事態宣言を発令した。他国のように強制罰則ではない。自制・節制は自己管理も良心に頼ることしかできない。モラルや道徳観の戦いでもある。強い強制力はなくても多くの国民の意識の中に感染防止のための行動の必要性を刻み込む機会となるだろう。

 しかし、飲食店など商売している人は客足が遠のくことは経営の危機を招くこととなり、わずかな望みで日銭を稼ぎたいと思うのは当然のこと。一刻も早く対策に対する自粛休業補償等の生活が維持継続できるための手当を早期に明確にしなければ、強い要請でも徹底できない。

 安倍晋三首相が「マスクを2枚送ります」と言ってからいつ届くのか、マスクよりも生きるのに困っている人を救う手立てを考えなければならない。現金支給の話もあるがまだ手元にお金は届いていない。政府のとにかく早い決断と実行が求められている。

 コロナ感染が拡大しているニューヨークや欧州各地の映像画面は全て都市である。人口格差はそのまま人口密度に波及する。全国一律に外出自粛というのはどうしても都市の論理である。

 私も10日間にわたって在宅にて外出自粛をしていたが、3密とはほど遠い田舎では、お店に行かなければ人に会わないし、歩いている人はほとんどおらず、すれ違うことさえない。トラクターは動き出しているが、田畑で仕事をしている人も1人、2人とまばらである。

 夜は盛り場でもなく、密室でもなく、人とは会わずに星空を眺め、大自然との対話が可能である。交流とコミュニケーションはコロナ終息後に取っておくとしても、自然豊かな食料生産現場の田舎の価値を見直す時である。

 
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