【体験型観光が日本を変える 109】目に余る良識や社会性の欠如 体験教育企画社長 藤澤安良


 議員の不適切な行為や発言が相次いでおり、お詫びと撤回が繰り返されてきた。役人の答弁も逃げにまわるその場しのぎが横行し、政治家も役人も良識と了見が問われている。

 「インスタ映え」などの言葉が飛び交う中、あらゆる画像が掲載され、情報の拡散は訪日外国人観光客の誘致にも貢献している。しかし、手軽に撮れるスマホ動画で、またもや不適切画像がコンビニやファストフードなどから流出が相次ぎ、当該企業の信用に傷が付き大きな損害を与えている。企業側は社員の教育を徹底し再発防止に努めますとコメントしているが、そう簡単に教育できるのか疑問が残る。

 そもそも、そんな社会に大きく影響を与える行為を平気でする感覚は社員教育以前の問題である。また、あおり運転も相次いで起こり、ドライブレコーダーの普及でその映像がテレビでも紹介され、検挙件数も1万件を超えている。隣国の中国や韓国でも増え続けているという。簡単に腹が立ったり、切れたりする人間が増えているのだろうか。

 今年は平成最後の年でもあり、そのタイミングであらゆる詐欺行為が多発しているという。全ては良識や社会性の欠如、利権、保身、面子、顔、立場、票に執着した自己中心主義に他ならない。口先だけではなく真に地域や社会に貢献しようとする人間が絶滅危惧種となりつつある。

 そんな中、体験交流型の観光を推進することによって地域振興を行ってきた一般社団法人「まつうら党交流公社」の修学旅行生受け入れ30万人達成記念式典が開催された。16年前、こんな田舎に修学旅行生が来るはずがないと言われてから、今日を迎えられたのは感慨深いものがある。しかし、今後の50万人を目指す時、過疎化・高齢化による担い手の減少はどこも同じ田舎の課題である。

 体験交流型の観光はガイドやインストラクター、民家ステイのホストファミリーなどの存在が不可欠である。この事業は所得の助けになったり、生業となる可能性を持っており、定年後の生きがいのイメージから若い世代にもその役割を担ってほしいものである。移住・定住促進は田舎の共通の目標でも課題でもある。田舎暮らしをしたい人は増え続けているが、一番の課題は生活基盤となる生業の方法である。

 IJUターン者の中には地域社会や交流人口拡大に貢献したいとする若者も少なくない。また、田舎暮らしの魅力は、新築の近代住宅やマンションではなく、田舎ならではの古民家や田畑、あるいは漁船などは活用されずに存在しているものも少なくない。暮らしたい環境、やりたい生活、関わりたい仕事がうまくマッチングすれば移住定住の促進につながることになる。

 体験交流型の観光振興は、人が関わる観光であることから、求めている人材確保と定住移住者の拡大とを直結させていくべきである。こんなキャッチコピーが合うはずである。「あなたは田舎で交流人口拡大につながる地域振興の担い手になってほしい」。

 
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