【体験型観光が日本を変える8】学校、家庭に体験教育を 藤澤安良


 原発の再稼働の話題が相次ぐ中、福島第1原発事故から自主避難してきた男子生徒が、横浜市内の転校先の学校でいじめを受けていたという本人の手記が公表された。そこには、「何回も死のうと思った。(中略)つらいけど生きる」と苦しい胸の内が語られていた。さらには、「ばい菌」と呼ばれたり、賠償金を受け取っただろうと言い掛かりをつけられ、金銭も脅し取られたりしていたという。

 世相を反映した残念な事件が数年にわたって起こっていた。学校でのいじめ問題は後を絶たず、その多くが教員や教育委員会では、発見も、実態把握も、指導も、予防も、責任もとれない情けない状況にある。加害児童生徒の心のゆがみと同時に、教員の人間力の低下傾向も著しい。机上の知識教育を学問としているが、その力を健全な場面で発揮するには、健全な人間でなくてはならない。

 居心地が悪かったり、行きたくなかったりと、不登校も多い。家族や親ならば、子どもを守らなければならないのは動物の本能であり、人間としての常識であるが、虐待の相談件数は10万3260件と増え続けている。殺害し山中に埋めた親までいる。狂っているとしか言いようがない。

 人の弱みにつけ込み、いじめたり、いじめに荷担したり、人の嫌がることをする人間こそ弱い人間なのかもしれない。人は比較の連鎖に影響されやすい。自己中心的な人間であっても、人との比較を考え、見栄を張ったり、嫉妬したり、おとしめたりと、対象者になることになる。自己がより高みを目指し、努力し、成長することで自己を確立しようとする考えや行動を起こしてほしいものである。

 「アスリートファースト」が流行語大賞にノミネートされた。同様に、学校は教員の職場ではあるが、保身、面子、立場が優先され、トラブルや問題から逃げたり、見て見ぬふりをしたり、正面から立ち向かわない教員も少なくない。学校は“スチューデントファースト”であり、一番安らぐはずの家庭でも“チャイルドファースト”でなければ、子どもの居場所がない。それは、モンスターペアレンツになることではない。教員も、親も、社会性や人間関係構築能力が足りないと感じる場面を数多く見ている。そんな教員や親から、子どもが学べるはずもなく、人間教育の危機的状況にある。

 体験教育はインストラクターやガイドとはもちろん、参加者同士の交流が深まり(仲間意識)、人との違いを認め(個の尊重)、いろいろな思いを知ること(相互理解)ができる。あらゆる体験活動はコミュニケーションを豊富にしてくれる。得意なものや夢中になるものも発見できる。自信や誇りを持ち、夢や希望を持つこともできる。教育現場では児童生徒はもちろん教職員にも社員教育、家族にも体験プログラムが今こそ必要な時である。完成された大人などいない。自分は“できる人間”と思った時に学べなくなる。人間は生涯“学び”である。心豊かな家族、学校、社会にしなければならない。

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