【令和時代における交通インフラの人材採用45】女性バス運転の採用~ソフト面~ 女性バス運転手協会代表理事 中嶋美恵


 前回はバス事業者が近年積極的に女性運転手の採用に力を入れていること、そしてその採用に必要なハード面の整備について書かせていただきました。今回は女性採用に必要なもう一つの要素であるソフト面の整備についてです。整理すると大きく三つあります。一つは「勤務シフト」、二つ目に「休日休暇」、三つ目が「相談窓口」です。

 まず勤務シフトですが、家庭や育児と仕事を両立したい女性向けシフトを通称「ママシフト」と呼んでいます。朝、家族を送り出してから出勤、夕方家族が戻るまでに帰宅できるというものですが、このシフトには難点もあります。バスは公共交通機関なので繁忙時間が朝の通勤時と夕方の帰宅時です。つまり、一番バス運転手が活躍すべき時間に乗務できないのです。このシフトですとバス事業者側も、同僚運転手も困りますし、ご本人も申し訳なく感じてしまうようです。最近ではその点に配慮して朝か夕方かどちらかに寄せて乗務するシフトが出現しています。朝か夕方に乗務することで、家庭も仕事も両立させるというものです。

 次に休日休暇の整備です。通常、女性が取得する休暇には、生理休暇、産前産後休暇、育児休暇、介護休暇などがあります。これは必要最低限なくてはならないものです。さらにバス業界ならではの休暇には「希望休」「ダブル公休」があります。希望休とは、あらかじめこの日は休みたいという日の希望を出して休むもの。ダブル公休とは、2日連続でお休みを取得することです。一般的に「え、そんなの普通でしょ?」と思われるかもしれませんが、バス運転手の休暇にはこれらが組めない事情もあったのです。しかし最近では事業者の努力により、取得可能となってきています。

 そして相談窓口の整備です。バス業界は男性社会です。同僚も上司も大多数が男性、営業所に女性は1人だけということも少なくありません。何か困ったこと、相談したいことが発生しても、気軽に声を掛けられないこともよくあるのが実情です。例えば、体のことや個人的なことでどうしようかと迷った際、遠慮なく相談できる、秘密を厳守してくれる女性の相談担当者が必要です。月に1回、女性乗務員を集めてミーティングをしているバス事業者もあります。忌憚(きたん)ない意見を交わすことで女性の現場での思いや現状を拾うこともでき、その効果は非常に良いようです。

 (リッツMC代表取締役社長兼女性バス運転手協会代表理事)

 
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