【交通トレンド分析37】北海道の魅力発信へJR北海道、ANAが連携 航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗


 1月20日にJR北海道の本社(札幌市)でANAとの共同会見が行われ、北海道の地域創生へ向けた連携を開始することを発表した。これまでもさまざまな形での地域創生が行われているが、会見を取材して感じたことは、パッケージ旅行や団体旅行ではなく、航空券単体もしくは飛行機と宿泊施設がセットになったダイナミックパッケージ(DP)を利用する個人客がターゲットであることだ。

 今回の連携第1弾となるのはJR宗谷線。ANA便(AIRDO運航の共同運航便の場合はANA便名の航空券であれば対象)で稚内、旭川、新千歳の3空港に到着した人が購入することができる、対象となるエリアが乗り放題(特急自由席も乗車可能)の「ANAきた北海道フリーパス」を4月1日から設定する。対象エリアは、札幌近郊では新千歳空港―札幌―小樽、札幌―旭川―稚内、加えて留萌や美瑛、富良野などの人気観光地も含まれており、4日間乗り放題で大人1万3150円、子ども6570円、12~25歳が対象のU25用で1万520円という設定となる。4月から販売開始で、まずは1年間(2021年3月末まで)販売が続くことから、ゴールデンウイーク、夏休みに稚内などの道北エリアを周遊したい人にはおすすめだ。

 JR北海道では既にAIRDOやピーチなどにおいても搭乗者を対象とした周遊きっぷを販売しているが、今回のANAとの提携においては、他社との提携に加えて、地域体験のシェアリングサービス「TABICA」との連携がある。宗谷線沿線となる美深町、稚内市、音威子府村などでホストが企画するさまざまな体験を旅行や旅行の途中下車などをして、地元ガイドとの宗谷丘陵のウォークツアーや北海道大学中川研究林の自然体験などのプログラムを提供し、特設サイトからの申し込みによって割引で利用することが可能だ。

 また、連携内容やキャンペーンなどを詳しく知ることができる専用サイトを両社の公式ホームページで開設すると共に、オリジナルの連携ロゴもお披露目された。キャッチコピーは「青空と大地をかけめぐる。AIR TRAIN」。AIR TRAINというのは造語になるが、異なる交通機関のモビリティを融合することにより、北海道の魅力を発信するチャンネルが増え、地域貢献に大きく影響を及ぼすことが期待されている。

 ANA国内線で北海道を訪れる訪日観光客(インバウンド)の「ANAきた北海道フリーパス」を活用した道北エリアの観光客誘致も想定しているが、日本人・外国人問わず、バスで北海道を周遊するのではなく、鉄道を上手に活用した個人旅行の取り込みに期待したいところだろう。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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