【交通トレンド分析181】昨年11月末に販売、ANAセールでの旅行者目立つ 鳥海高太朗


 昨年11月29日から3日間限定で、ANAが創立70周年を記念して座席数限定で国内線全路線を今年1月5日~2月28日搭乗分を対象に片道7千円で販売した「ANA SUPER VALUEセール」。販売開始の11月29日午前0時の時点でANAのホームページが接続しにくかったが、今回はある程度の座席数を販売したこともあり、平日であれば比較的、販売最終日であった12月1日の夜まで購入できたことで、多い人では1人で10区間以上購入したほか、購入した人の多くが約2カ月弱の搭乗期間があったことから、4区間や6区間を購入し2回、3回の国内旅行を楽しむといった人が多かった。

 私自身も広島、鹿児島、新千歳の各路線を羽田発着で購入でき、広島ではお好み焼きを楽しみ、鹿児島では指宿で砂蒸し風呂でリフレッシュ、さらに2月4、5日の週末では3年ぶりに「さっぽろ雪まつり」を堪能することができ、これが片道7千円でANA便を使って行けたのは非常にありがたかった。私の友人、そしてSNSでつながっている仲間が7千円セールのおかげで旅行に行けたという声が多く聞こえてきた。セール運賃のおかげで旅の幅が広がったというワケだ。

 私の親も下関にフグを食べに行ったり、プロ野球のキャンプ観戦で宮崎、沖縄に出かけたりしているが、7千円以外に徴収される「旅客施設使用料」(羽田では370円)を加えても片道7500円程度で往復1万5千円前後である。「全国旅行支援」を活用し、5千円程度のビジネスホテル(2名利用なら1室1万円程度)で宿泊できれば往復飛行機+ホテルの合計2万円程度で全国に旅行ができてしまうという画期的なセールだった。

 国や地方自治体の旅行支援策もあるが、航空会社が閑散期である1、2月に大々的なセールをすることで地方に多くの旅行者を運ぶという効果を生んだ。それも税金を一切使わないところが大きい。販売座席数を限定しているが、それでもかなりの座席数を販売したと推測される。今回の7千円はかなり衝撃の運賃で創立70周年の特別企画であったが、それ以外でもANAやJALでは「タイムセール」という形で片道1万円前後でのセール運賃を発売することも不定期である。

 こういったセール運賃は間違いなく地方創生につながることを今回のANAの7千円セールで実感した。もちろんLCCでも片道数千円のセールもあるが、やはりANAやJALのセールは破壊力がある。今後も全路線で1万円以下のセールは年に1~2回程度で実施してほしい。結果的に地方創生にもつながる。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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