今年1月に観光業界をにぎわせたのは、ニューヨーク・タイムズ紙が1月12日に発表した「2023年に行くべき52カ所」に日本国内で盛岡と福岡が入ったことだ。その中でも盛岡は市民も含めて想定外という声が多く聞かれる中、今回は日本在住20年以上の記者であるクレイグ・モドさんが盛岡市の魅力を推薦し、ニューヨーク・タイムズ紙の中で議論され、今訪れるべき場所に選出された。
私も2022年に仕事で盛岡を訪れたが、改めて選出された理由を検証すべく、発表直後に盛岡へ向かった。盛岡は「はやぶさ」「こまち」の登場で1時間に1本以上、東京駅から上野・大宮・仙台の3駅停車(一部は上野駅も通過)のみで片道2時間10分程度で盛岡へ行けるのでアクセス的には非常に便利な場所である。あっという間に盛岡に着いたが、基本的に「はやぶさ」と「こまち」が連結される17両編成が基本で(盛岡で切り離し、連結を行う)、全車指定席であるが、利用者としてはどちらの列車も利用できるのはありがたい。自由席利用であれば時間は掛かるが「やまびこ」も使える。
秋田新幹線が開業した1997年、東北新幹線が八戸まで延伸した2002年までは盛岡駅は終着駅であったが、今は盛岡駅に全ての新幹線が停車するが、八戸、新青森、新函館北斗、秋田へ向かう際に途中下車する人は限られている。特に今の新幹線は途中下車をすると割高になる料金設定であることから、乗り放題でなければ、途中下車しにくいという問題もある。
そういった意味では昨年10月に販売され、さらに今年3月2~15日に再設定される新幹線も含めてJR東日本が乗り放題の「鉄道開業150周年記念ファイナル JR東日本パス」(大人2万2150円、こども1万150円)、訪日外国人観光客が利用できる「ジャパン・レール・パス」のような乗り放題チケットは盛岡に行きやすいチケットだ。
盛岡は訪日外国人観光客から見ると片道2時間で日帰り圏内であると共に、私も先日訪れたが盛岡駅から半径2キロ以内に観光スポットやわんこそば、カフェなどが集約され、日帰りでも十分に楽しめるほか、秋田や青森、北海道などへ向かう途中に数時間立ち寄るだけでも需要はあるだろう。今回「2023年に行くべき52カ所」に選ばれたことによって外国人観光客だけでなく、日本人からも盛岡へ行ってみたいという声が出ており、既に盛岡を訪れている人も実際に増えているそうだ。
日本人、外国人観光客共に盛岡は2023年の注目スポットになりそうだ。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)