【交通トレンド分析168】JR東日本パス東北への絶大経済効果 鳥海高太朗

  • 2022年11月8日

 「鉄道150周年記念 JR東日本パス」が10月14日から27日までの連続3日間、JR東日本エリアおよび一部私鉄(三陸鉄道、伊豆急、富士急など)を含めて乗り放題で、新幹線・特急の自由席も回数無制限で利用可能、指定席も合計4回まで使えるというルールで大人2万2150円、こども1万150円で販売された。この期間内に私も東北新幹線に乗る機会があったが、指定席、自由席共にいつもより混んでいたほか、週末については、全車指定席の「はやぶさ」「こまち」「つばさ」などで指定席が全席満席の列車も多かった。そして平日でも「はやぶさ」で満席になる列車もあった。

 傾向としては、平日はシニア層が多く、週末は若い世代をはじめ幅広い世代での利用があり、特に青森や秋田などこの切符の効果を最大限活用できる観光地においては、週末を中心にホテルが満室で全く取れないという状況も起こるなど、このチケットにおける経済効果は抜群であったことは間違いない。東北新幹線では東京から仙台の次の駅である古川まで往復するだけで元が取れる計算で、3日間使えるのは大きかった。

 そして私が驚いたのは、平日の夕方に宇都宮から東京まで東北新幹線「やまびこ」に乗っていたときに聞こえてきたのが、シニアの女性のグループで今回の乗り放題を活用して、ホテルに宿泊せずに、初日は新青森、2日目は山形、3日目は長野といった形で毎日自宅から東北や信州などを往復する形で乗り放題のメリットを最大限に生かす旅行スタイルをする強者もいらしたことだ。

 特に東北はこの期間、全国旅行支援が始まったこと(10月11日から)も含め、ホテルの価格が上がったこともあり、確かにホテルに泊まらずに、首都圏のJR東日本エリアに住んでいるのであれば、毎日自宅に戻るというのは、賢明な判断かもしれない。それが実現できてしまうのもこの3日間乗り放題の魅力だと思う。

 かなり大盤振る舞いのキャンペーンであったが、これこそが税金を使わない形でも、民間の公共交通機関による旅行需要の促進につながった。さらに全国旅行支援が偶然、同じタイミングで重なったことも、今回のJR東日本パスの利用を後押ししたことも間違いないだろう。今回は鉄道150周年記念という形で特別に販売されたものであるが、閑散期の地方活性化における強力な武器として、同様の企画を今後も年に1回程度やっていただくことにより、旅行需要が高まる効果が期待できるだろう。

 ぜひ今後も実施してほしいものだ。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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