【交通トレンド分析143】GWの海外旅行は旅慣れた人が中心 鳥海高太朗


 4月に入り、感染症危険情報において多くの国で、渡航中止勧告に相当するレベル3の「渡航は止めてください」から、レベル2の「不要不急の渡航は止めてください」に引き下がったことで、各旅行会社のツアー商品の販売が再開された。特にハワイへのパッケージツアーを再開する大手旅行会社の動きがテレビなどでもたびたび取り上げられた。

 早ければゴールデンウイーク(GW)出発分からツアー再開の動きがあるが、ハワイの旅行会社に取材をしてみるとGWは直近すぎることもあり、実態としては夏以降の予約が入り始めているとのことだ。自分で航空券やホテルを手配する個人旅行も増えているが、今回のGWに海外へ出掛ける人のほとんどは個人旅行者であり、どちらかといえばコロナ前も積極的に海外旅行に出掛けていた旅慣れた人が中心だ。さまざまな面倒な手続きや、PCR検査などの手間をしてでも、それ以上に海外旅行への意欲が強い人が中心である。

 人気の旅行先としては、ハワイ、バンコク、ロサンゼルスなどだ。アメリカはワクチン接種が入国の必須条件で日本出発前日もしくは当日のPCR検査、帰国便出発72時間前のPCR検査などが必要であるが、アメリカの入国審査は以前と変わらずに到着後は自由に行動ができる。

 今、渡航できる海外の中ではヨーロッパ同様にハードルはそれほど高くはない。本来であれば、日本出発前のPCR検査もワクチン接種済み(国によって回数は異なる)であれば不要であり、それ以外の手続きもほぼ不要なヨーロッパ各国への旅行者が増えるものと思われたが、ロシアのウクライナ侵攻による影響でロシア上空(シベリアルート)が飛行できないことで運休が相次ぎ、運航中の便も南回りもしくは北回りで通常よりも4~5時間長い飛行時間になっている。

 航空券の価格も高騰し、燃油サーチャージも上がっていることもあり、ヨーロッパ旅行のハードルが昨年以上に高くなってしまった。そのような状況で、東南アジアで入国できる国が増えたことで、入国条件が細かいがタイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピンなどが観光目的での入国が可能になった。ただ、出発前にアプリの登録が必須の場合も多く、到着後のPCR検査を実施している国もあるなど、欧米に比べると手間はかかる。しかし、日本人に人気のタイへGW中に出掛ける人も私の周りでも何人かはいる。

 以前のようにパスポートと航空券だけあれば海外へ行けるにはもう少し時間がかかりそうだ。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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