【交通トレンド分析123】ワクチン接種証明書提示での特典が好評 鳥海高太朗


 現在、ニュースなどでも取り上げられる機会が多いワクチン接種証明書の提示による割引や特典などについて今一番進んでいるのが宮古島、そして石垣島を中心とした八重山諸島である。

 先日、宮古島を訪れた際に宮古空港および下地島空港の到着ロビーに特設カウンターが設置されており、ワクチン接種証明書もしくはPCR検査の陰性証明書を提示することで、宮古島市内で使うことができる500円分のクーポン券をもらうことができた。

 このクーポン券は、島内のお土産店やレストランなどで利用することが可能で、宮古島市内の感染症対策を施した250店舗程度が対象となっている。10月1日から配布を開始し、全部で2万枚が用意されている。

 日本では、海外と比べてワクチン接種証明のスマートフォンを活用したデジタルアプリ開発が大きく遅れており、500円のクーポン券をもらうにあたり、ワクチンの接種を証明した書類の提示が必要となるが、現状では接種時にシールが貼られた接種記録のページをコピーもしくはスマートフォンで写真撮影したものの提示でもクーポン配布の対象になる。また、PCR検査や抗原検査の陰性証明書については、72時間以内のものが有効でワクチン接種証明書同様の取り扱いとなる。

 石垣島の石垣空港では、同様に到着ロビー前に特設ブースが設置され、ワクチン接種証明書もしくは直近の陰性証明書を提示することで「あんしん島旅プレミアムパスポート」のクーポンをもらうことができる。こちらは市内の協力店において、主に割引サービスを受けられることになっており、宮古島同様にスマートフォンで撮影した画像データでも対象となる。

 このような形で少しずつではあるが、ワクチン接種証明書を提示することで割引を受けられる自治体が増えてきている。まだ私たちの生活の中でワクチン接種証明書を持ち歩くという文化がなく、忘れてしまうことも多いはずだ。事前にワクチン接種記録が書かれた紙をスマートフォンで写真撮影して保存しておくのがいいだろう。

 国内旅行が復活していく中で、同様にワクチン接種証明書提示による割引や特典などを受けられるケースが増えるだろう。そういった時に、スマートフォンで画像データを提示することで確実に恩恵を受けることができることになる。

 今後、数カ月以内にはワクチン接種証明のデジタル化が進むと思われるが、それまでの期間はアナログ的な対応が続くことになりそうだ。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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