
8月2日から緊急事態宣言が東京都・沖縄県に加えて新たに、神奈川県・千葉県・埼玉県・大阪府に追加され、期間も追加された府県も含めて8月31日までとなった。県を跨いだ移動を自粛するように政府や全国知事会などが呼び掛けているが、東京オリンピックを開催していることにより、大会関係者などが移動していることによる説得力に欠ける状況、さらにコロナ禍の旅行スタイルの確立、飛行機の機内や新幹線の車内での感染リスクが少ない点などを総合的に考慮し、1日の新型コロナウイルス感染者数が東京都内で4千人を超える状況になって旅行や帰省を取りやめる人も出てきている一方、予定通りに出発している人も多いのが実情である。
そのような状況の中で、8月2日に羽田空港で別件の取材後に第1ターミナルにある木下グループの「新型コロナPCR検査センター」は平日午後にも関わらず混雑していた。既にワクチン接種の2回目を終えている人もいるが、まだワクチン接種ができていない人を中心に旅行先・帰省先に迷惑をかけないように出発直前にPCR検査を受けてから出発する人が日増しに増えている。この傾向は7月の東京オリンピックの開会式を含めた4連休でも見られ、羽田空港だけでなく、新橋や新宿などの格安のPCR検査センターには予約している人でも行列の状態となっていた。
羽田空港には第1ターミナル(4階)と第2ターミナル(地下1階)の2カ所に検査センターがあり、多くの人は鼻腔ぬぐい液による抗原定量検査により約30分で結果が出る「クイック検査」を受ける人が多い。クイック検査は1900円(税込み)となっている。また、クイック検査に加えて、唾液によるPCR検査も同時に受けられるセットでは3300円になっている。PCR検査は検査結果が出るまでに最短4時間かかることから、出発当日に受ける場合はクイック検査のみもしくはクイック検査とPCR検査のセットのどちらかになるが、最近では検査時間20分でPCR検査の結果が出る「エキスプレスPCR検査(7900円)」も選べるようになっている。これらの検査は全て予約が必要になるが、以前は当日でも予約できたが、最近は混雑もあることから早めに予約しておくといいだろう。
このような形で旅行者においても目的地で感染拡大をさせないように気をつける動きが加速していることは明らかであり、64歳以下のワクチン接種も徐々に進んでいることも含め、県を跨いだ移動の是非については、最終的に旅行者自身が判断する夏休みになりそうだ。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)