【マンスリーリポート 観光の現場 37】テレワーク需要一進一退 非常事態宣言後に利用減


源泉一乃湯ではミニキッチン付き客室も用意

後押しする自治体も

 新型コロナウイルスの感染拡大防止の一環として、テレワーク(在宅勤務)に踏み切る企業が増えている。働く先は自宅が中心だが、子どもの世話や家事手伝いなどもあり、なかなかはかどらない。そんな中、仕事に集中できる場所としてクローズアップされているのが旅館・ホテルだ。テレワークプランを打ち出す施設もあり、知恵と工夫で生き残りを図る。後押しする自治体も出てきている。コロナ禍を機にテレワークが浸透する可能性はないとはいえず、新たな宿泊形態となり得るかもしれない…。

 群馬・草津温泉の旅館「奈良屋」は3月18日から、素泊まり専用ホテル「源泉一乃湯」を利用する「テレワーク応援プラン」を販売した。料金は和ダブルモダンの客室(22平方メートル)で1人1万780円から。2泊以上が対象だ。

 「ビジネスや暮らしに、新たな発想やアイデアを見いだす空間としてお手伝いできれば」として始めた。利用者も順調に増えていたが、「政府の非常事態宣言を機に、客足はやや落ちている」という。宣言で巣ごもり現象に拍車がかかっているようだ。

 30代のサラリーマンらが2~3泊するケースが多かったという。客室を含めて、館内では無料でWi―Fiが利用でき、部屋によってはミニキッチンが完備され、自炊も可能。ランドリールーム(有料)もあり、長期滞在にうってつけだ。しばらくはプランを販売していく。

 栃木市の「栃木グランドホテル」は、市民や市内の企業を対象にテレワーク・リモートワーク向けプランを企画、ホームページ上に掲載している(16日現在)。

 通常、1泊6900円(シングル、素泊まり)だが、テレワーク・リモートワーク向け客室デイプランでは9~18時利用で1人2500円、1週間だと1万円で提供する。

 また、4~5月限定で宴会場をオフィスとして貸し出す。広さは19~233平方メートルで、室料は月3万~5万円。ファクスやコピーも利用できる。

 下電ホテルグループの「鷲羽山下電ホテル」(岡山県倉敷市)と「ゆのごう美春閣」(同美作市)はテレワークなどに対応した「疎開宿泊プラン」を3月中旬から発売。家族向けの連泊、長期滞在プランで、価格を抑え、朝食に客室で食べられる弁当を用意するなど人との接触を避けたい人に配慮した内容。

 前述の源泉一乃湯と同様、緊急事態宣言までは利用も多かったが、宣言以降は芳しくない。が、プランは続けるという。

 市内の宿泊施設でテレワークを行ったサラリーマンなどに対し、1人1日3千円を上限に利用料を補助しているのが福岡県北九州市で、「テレワーク推進北九州応援プラン」で観光業界を支援する。出勤者を減らすことで感染を食い止める狙いもある。

 市は宿泊業者にプラン作成を要請。業者は利用時間やサービス、価格などを独自設定し、市に報告。市はプランをホームページや観光情報サイト「ぐるリッチ 北Q州」で紹介する。

 16日、サイト上にJR九州ステーションホテル小倉とホテルクラウンヒルズ小倉のプランが掲載された。「プランが整った(協力を得た)ところから随時掲載していくが、16日現在、12軒ほどが検討している」と観光課。

 3千円は直接利用者に渡すのでなく、例えば、プラン料金が6千円だった場合、利用者は会計時に3千円を払い、残り3千円は施設から請求を受け、市が施設に払う仕組み。市は3千万円の予算を確保。補助対象は利用日が6月末日までとしている。

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