
北村氏
前回、宴会場に開口部があり、且つ眺望が望める等景観要素(ランドスケープ)がある場合の収益力向上効果を調査し、その結果をご紹介しました。今回は、さらに純粋に「ランドスケープだけの効果」がどれほど見込めるのかを追加調査しましたので、その結果をご紹介します。前回は、宴会場に換気ができる十分な開口部があり、且つ眺望が望める景観要素がある場合についてその効果をご紹介しました。今回は、眺望の有無を考慮外とし、換気ができる十分な開口部のみがある場合のみの効果を、前回同様に調査した結果と前回を比較し、眺望が望める景観要素だけの収益力向上効果を抽出してみたいと思います(全国男女200名に対するインターネットアンケート調査、2021年3月、弊会実施)。
「開口部がある」+「眺望が望める景観要素がある」及び「開口部がある」+「眺望が望める景観要素がある」+「テラス等が使用でき有機的関係を有する」場合のそれぞれの効果と比較し整理してみます。
まず、婚礼宴会については、十部な開口部があることで高い効果が期待できることが分かります。その効果は、重視する人が62%、61.5%が追加料金を許容し、その額は1,482円/人という結果でした。さらに、景観要素(ランドスケープ)がある場合は、重視する人の割合61%、追加料金を許容する人の割合65%、追加料金を許容する人の平均額1,615円/人、さらに眺望が望めるだけではなく、テラス等があり、ランドスケープと有機的関係を有する場合は、重視する人の割合61%、追加料金を許容する人の割合65.5%、追加料金を許容する人の平均額1,603円/人という結果でした。
一般宴会及び会議についても同様に、十部な開口部があることで高い効果が期待できることが分かります。その効果は、重視する人が63.5%、57.5%が追加料金を許容し、その額は1,299円/人という結果でした。さらに、景観要素(ランドスケープ)がある場合は、重視する人の割合55%、追加料金を許容する人の割合54%、追加料金を許容する人の平均額1,410円/人、さらに眺望が望めるだけではなく、テラス等があり、ランドスケープと有機的関係を有する場合は、重視する人の割合48.5%、追加料金を許容する人の割合53%、追加料金を許容する人の平均額1,438円/人という結果でした。
レストランについても、十部な開口部があることで高い効果が期待できることが分かります。その効果は、重視する人が61.5%、53.5%が追加料金を許容し、その額は1,286円/人という結果でした。さらに、景観要素(ランドスケープ)がある場合は、重視する人の割合59.5%、追加料金を許容する人の割合52.5%、追加料金を許容する人の平均額1,313円/人、さらに眺望が望めるだけではなく、テラス等があり、ランドスケープと有機的関係を有する場合は、重視する人の割合55.5%、追加料金を許容する人の割合50.5%、追加料金を許容する人の平均額1,321円/人という結果でした。
コーヒーラウンジ及びバーについても、十部な開口部があることで高い効果が期待できることが分かります。その効果は、重視する人が54.5%、46.5%が追加料金を許容し、その額は1,152円/人という結果でした。さらに、景観要素(ランドスケープ)がある場合は、重視する人の割合54.5%、追加料金を許容する人の割合44.5%、追加料金を許容する人の平均額1,201円/人、さらに眺望が望めるだけではなく、テラス等があり、ランドスケープと有機的関係を有する場合は、重視する人の割合53%、追加料金を許容する人の割合45.5%、追加料金を許容する人の平均額1,157円/人という結果でした。
以上のように、換気ができる十分な開口部があることによる「安心感」が収益力向上のポイントとなる他、特に宴会部門では、その他眺望が望める景観要素の存在に追加効果が見込まれるという結果でした。開口部の存在は、に感染経路でエアロゾル感染が注意されている中において、高く評価されている様子が窺えます。さらに、心理的な安心感を向上させるのでしょう、眺望が望める景観要素についても、同様に集客力及び収益性の向上に貢献する可能性が見込まれるという結果でした。
一般社団法人観光品質認証協会 統括理事
㈱サクラクオリティマネジメント 代表取締役
㈱日本ホテルアプレイザル 取締役
不動産鑑定士,MAI,CRE,FRICS 北村 剛史