若い世代の認知度 二極化
JTB総合研究所はこのほど、「SDGsに対する生活者の意識と旅行」の調査研究をまとめ、発表した。これによると、「SDGsを知っている(詳しく知っている、17のゴールを知っている)」人の割合は、25.1%で、全体の4分の1程度であることが分かった。「SDGsという言葉を聞いたことがある人」は59.2%。若い世代では、認知度が高い一方で、「知らない・聞いたことがない」と答えた人も多く、二極化の傾向が見られた。
調査は昨年12月17~21日にインターネットアンケート形式で実施。全国に居住する18~79歳の男女1万1人を対象に事前調査を行った上で、2021年までの3年間に1泊以上の国内旅行をした3千人を対象に、観光や観光地の持続可能性について旅行者の意識などを把握する本調査を行った。
SDGsの認知度について性年代別に見ると、「SDGsの理念、ゴール、ターゲット、指標などを詳しく知っている」「SDGsの詳細は知らないが、17のゴールは知っている」の二つを合算した「知っている」の割合は、男性、女性ともに29歳以下が最も多かった。その一方で、「知らない・聞いたことがない」と答えた人が最も多かったのも、男女ともに29歳以下だった。
SDGsを構成する17のゴールについて、重要と思うゴールを五つ、その中で再重要と思うゴールを一つ選ぶ設問では、「すべての人に健康と福祉を」が最も多く、40.3%。以下「貧困をなくそう」が39.4%、「飢餓をゼロに」が34.8%で続く。
日常生活でのSDGsを意識した行動については、最も多かったのが「レジ袋・包装紙等の辞退」で65.8%。次いで「食品ロスの削減」(57.3%)、「ゴミの分別・リサイクルや持ち帰り」(55.6%)。これらはSDGsの概念に直結するからというよりも、以前からあるゴミ削減や節約の意識に加え、レジ袋有料化などの仕組みやルール作りによって行動が多くなったものと同総研は見る。
旅行中のSDGsに関わる行動で、意識的に実践していること、今後実践したいことについて尋ねた設問では、「混雑する場所・時間帯の訪問を避ける」(33.4%)、「歯ブラシ・ブラシ・化粧品を持参」(32.5%)が多かった。「特になし」は31.7%で3番目に多かった。
旅行でSDGsを意識するために、地域や旅行商品・サービスの提供側がどんな情報発信や推進活動をするといいかについて尋ねると、「特にない」が34.9%で最も多く、「旅行・観光のSDGsへの関心のなさがうかがえる」と同総研。次いで、「個人が意識しなくとも、その地域の行動が自動的にSDGs推進になるしくみができている」(26.9%)、「宿泊施設の予約サイトを通じて、施設のサスティナビリティについての取り組みが分かる」(26.5%)など。
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