【データ】防犯・防災の備えは万全ですか? 


宿泊者の安全・安心確保を

 国の観光立国推進によって大幅に伸びている訪日外国人旅行客だが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け一層の増加が見込まれる。一方、訪日外客数に比例するように、来日外国人の刑法犯検挙人員も増加傾向にある(図表1)。外国人客の需要が高まる宿泊施設でも、外国人による犯罪のリスクが総体的に高まっている。

 警察庁の統計によると、16年度に旅館・ホテルで発生した刑法犯総数は3370件で、中でも窃盗犯に該当する犯罪が2126件と、全体の6割を超える(図表2)。

 宿泊施設では、人手が不足する中、いかに防犯体制を構築するかが喫緊の課題となっている。その有効な解決策の一つが、防犯カメラの設置だ。防犯カメラは、実際に犯罪が起きた時の証拠として利用できるほか、カメラがあることによって犯罪を抑止する効果や、宿泊者へ安心感を与える効果も期待できる。

 また、近年、台風や地震などの自然災害が多発しており、防犯に加え、防災への備えも重要性を増している。

 11年に発生した東日本大震災後、事業継続マネジメント(ビジネス・コンティニュイティ・マネジメント=BCM)の重要性が明らかとなった。現在、具体的な政府目標として「国土強靱(きょうじん)化アクションプラン2017」で20年までに事業継続計画(ビジネス・コンティニュイティ・プラン=BCP)を策定する割合を大企業でほぼ100%、中堅企業で50%とすることを目指している。

 内閣府が18年3月に実施した「平成29年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」では、BCPを策定した企業は大企業で64.0%(前回調査60.4%)、中堅企業で31.8%(同29.9%)とともに増加している。策定中を含めると大企業では8割強、中堅企業では5割弱がBCP策定に取り組んでいるという結果となった。

 同調査では「災害対応で今後新たに取り組みたいこと」も聴取している(図表3)。大企業、中堅企業ともに「備蓄品(水、食料、災害用品)の購入、買い増し」が最多で、次に多い回答が大企業では「BCP策定・見直し」、中堅企業では「安否確認や相互連絡のための電子システム(含む災害用アプリなど)導入」だった。さらに、BCPに関連すると想定される「災害対応担当責任者の決定、災害対応チーム創設」「本社機能・営業所などの代替施設・建屋の確保または準備」「重要な要素(経営資源)の把握」などの回答も多く、各企業でBCP策定・見直しの重要性を認識していることが分かる結果となった。

 旅館・ホテルでは、宿泊者を安全・安心、快適に迎えるためにハード、ソフト両面を今一度見直し、起こり得るリスクに備えることが大切ではないだろうか。


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