【データ】新型コロナウイルスの「働く人」への影響実態に関する調査

  • 2020年6月2日

 インテージとクアルトリクスは5月29日、新型コロナウイルスの「働く人」への影響実態に関する調査の結果を発表した。

株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:檜垣 歩、以下:インテージ)は、米国クアルトリクスの日本法人、クアルトリクス合同会社(本社:東京都千代田区、カントリーマネージャー:熊代 悟、以下:クアルトリクス)と新型コロナウイルスの「働く人」への影響実態に関する共同調査を実施しました。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて急遽、リモートワーク環境が整備され、在宅勤務が推奨されるなど、人々の働き方には大きな変化が起きています。この共同調査では、最初に緊急事態宣言が発令された7都府県の各業種において、どのような働き方の変化が起き、働く人々の気持ちやストレスにどう影響しているのか、計3回にわたり約1万人規模の時系列調査を行いました。本調査はインテージの保有するインターネット調査パネルである「キューモニター」を対象とし、クアルトリクスのアンケートシステムとダッシュボードを活用して、その実態をまとめたものです。

[ポイント] 

  • どの業種でも就業時間が減るとともに、業務効率も下がっている。特に飲食店・宿泊業への影響が大きい。
  • 働く人のストレスについて、抑うつ度については医療、福祉、飲食店・宿泊業などで高いものの、時間の経過とともに改善傾向に。しかし、疲労度については改善しておらず、特に医療、福祉では疲労度が高まっている。
  • 現在の勤務先への勤務継続意向は製造業(自動車・バイク)、医療、福祉、小売業、飲食店・宿泊業が低い。勤務先からの支援に満足しているほど、継続意向は高い傾向に。
  • 情報サービス業や製造業では在宅勤務が進んでいる一方、医療、福祉、小売業、運輸業、飲食・宿泊では在宅勤務が困難な実態がある。
  • 在宅勤務の導入後、「業務効率が上がった人」と「業務効率が下がった人」の両者が存在する。業務効率が上がったと感じる人は、多くが新型コロナウイルスの影響が収束した後も在宅勤務を続けたいという意向を示した。

就業時間、業務効率への影響:全体的に、前年に比べて勤務時間が減少し、業務効率が下がったと感じられている。特に、「飲食店・宿泊業」従事者にその傾向が強い

新型コロナウイルスは、企業や働く人々に多大な影響をもたらしています。サービスの提供自体が難しくなったり、サプライチェーンが途絶するなどして経営が大きな影響を受けている業種やそこで働く方たち、また、医療や福祉、小売など感染の不安に直面しながら業務を続けている方たちがいらっしゃいます。一方、在宅勤務の導入が進み、その恩恵を受けていたり新しい課題に直面している方もいるでしょう。本調査では、新型コロナウイルスが、さまざまな業種で働く方たちにどのような影響を与えているのかを分析しました。

まずは、「勤務時間」と「業務効率」にどのような変化があったのかを見てみましょう。第3回調査を実施した5月12日~15日現在、前年に比べて「勤務時間」が増えているかどうかを聞いたところ、どの業種でも減少していることが分かりました(図表1)。特に「飲食店・宿泊業」では過半数が「減っている」と回答しました。業務効率についても、全体的に効率が下がっていると感じている人が多いことが分かります(図表2)。民間では、特に「保険」や「飲食店・宿泊業」で業務効率が下がっているという回答が目立ちました。

 

働く人のストレスへの影響:時間の経過とともに改善する「抑うつ度」、高まる「疲労度」

新型コロナウイルスの感染拡大は、働く人の心の健康にどのような影響を与えているのでしょうか。在宅勤務の導入が比較的進んでいる「製造業(医薬品・健康食品)」や「情報サービス業」(調査結果は後述)と、新型コロナウイルスの影響が大きいとして報道されることが多い「製造業(自動車・バイク)」「飲食店・宿泊業」、「エッセンシャルワーカー」と言われる「医療」「福祉」の6つの業種について、ストレスへの影響を明らかにするため、ストレス尺度*を用いて「抑うつ度」「疲労度」などを聴取し、業種別に比較しました(図表3、4)。

まず抑うつ度については、「製造業(自動車・バイク)」「飲食店・宿泊業」「医療」や「福祉」が特に高かったものの、時間の経過とともに改善していることが分かりました(図表3)。これに対し、疲労度については「医療」や「福祉」が高どまりをしていて、改善が見られません。「医療」や「福祉」といった感染拡大防止や介護の現場で働く方たち、通常の営業ができなくなったり休業に追い込まれた「飲食店・宿泊業」では時間が経つにしたがって疲労度が高まっていることが明らかとなりました(図表4)。
*松浦、勝岡、脇(2012)大阪経大論集「成人を対象とした心理的ストレス反応尺度の作成」より、聴取項目を選定

 

勤務継続意向とストレス:勤務先からの支援に満足している人は、現在の勤務先で働き続けたいと思っているが、抑うつ、疲労を感じている人は働き続けたいという意向が低い

新型コロナウイルスの感染拡大に際しては、従業員の健康や安全への配慮をはじめとする、企業や職場の姿勢が問われる場面も多く見られました。現在の勤務先への評価が高まった人もいれば、転職を考え始めた人もいるかもしれません。そこで、働く人が、現在の勤務先で働き続けたいと思っているのかを見てみました。第3回目調査(5/12~)時点での、現在の勤務先に対する勤務継続意向について業種別に比較すると、「製造業(自動車・バイク)」「コンビニ・その他小売業」「医療」や「福祉」が低いことが分かりました(図表5)。新型コロナウイルスの影響だけが勤務継続意向に反映されている訳ではないことに注意が必要ですが、「製造業(自動車・バイク)」については業績への影響が特に懸念されている業種であること、「コンビニ・その他小売業」「医療」や「福祉」については、後述の通り在宅勤務ができない環境であることが多く、感染の不安がある中で業務を続けざるを得ないことが、勤務継続意向が低い背景としてあるのかもしれません。

次に、勤務継続意向とストレス尺度との関係を見てみましょう。図表6は、ストレス度合いと勤務継続意向の関係性を表した数値です。「抑うつスコア」「疲労スコア」については、それぞれ「-0.37」「-0.30」という数値が出ており、これは、「抑うつ度」「疲労度」が高いほど、勤務継続意向が低いことを表します。一方で、「勤務先支援満足度」については「0.64」という数値が出ており、勤務先からの支援に満足している場合は、現在の勤務先に勤め続けたいという関係を示しています。

 

在宅勤務の利用状況とコロナ影響収束後の在宅勤務意向:製造業や情報関連で進む在宅勤務。「エッセンシャルワーカー」と呼ばれる業種は在宅勤務が困難な傾向に

最後に、在宅勤務の利用状況について見てみましょう。「在宅勤務をしていない」が多いのは「運輸業」「コンビニ・その他小売業」「飲食店・宿泊業」「医療」「福祉」などで、「エッセンシャルワーカー」と呼ばれる職業・業種が多く含まれていることが分かります。一方、「情報通信業」「情報サービス業」や、「医薬品・健康食品」「家電製品」をはじめとする「製造業」では概ね在宅勤務の導入が進んでいました。

では、在宅勤務によって業務効率には変化があったのでしょうか。図表8は、在宅勤務利用状況による業務効率の違いを示しています。在宅勤務をしている人は、在宅勤務をしていない人と比べて、「業務効率が上がった」「業務効率が下がった」のどちらも高い傾向が見られました。また、新型コロナウイルスの影響が収束した後も在宅勤務をしたいかを聞いたところ、現在の業務効率によって意向が大きく異なることが分かりました。「現在の業務効率が上がっている」と感じている人ほど、「今後、在宅勤務を増やしていきたい」と考えていることが見てとれます(図表9)。

なぜ在宅勤務を増やしたい/減らしたいと思うのか、自由回答で理由を記入してもらったところ、在宅勤務を増やしたい人からは「通勤」「時間」「効率」「感染」といったキーワードが多く挙がりました(図表10)。通勤をなくすことにより「時間の節約ができること」がメリットと感じられていることが分かります。また、「感染リスクを減らすこと」をメリットと感じている人も少なくないようですが、「通勤」「時間」に比べると低い出現率に留まります。感染防止・感染拡大防止のために始まった在宅勤務ですが、今後はライフスタイルなどの理由で増やしたいと思うようになっているのかもしれません。

反対に、在宅勤務を減らしたい人からは「効率」「コミュニケーション」「対面」「環境」といったキーワードが多く挙がっていて、在宅勤務の環境次第では業務効率が悪いと感じる可能性や、同僚やお客様とのコミュニケーションの難しさをデメリットとして感じていることが推察されます。


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