【データ】新型コロナウィルス・パンデミック経験後の「ホテル利用に関する意識調査」

  • 2020年7月1日

 J.D. パワー ジャパンは6月26日、新型コロナウィルス・パンデミック経験後の「ホテル利用に関する意識調査」の結果を発表した。

顧客満足度(CS)調査や消費者動向に関するリサーチ・コンサルティング会社である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、略称:J.D. パワー)は、新型コロナウイルスとホテル利用に関する意識調査の結果を発表いたします。

6月19日に全国的に都道府県をまたいだ移動自粛要請が解除され、徐々に出張や旅行を再開する動きが見られています。J.D. パワーでは、自粛解除直前の6月初旬に過去1年間に旅行に行った消費者を対象に「新型コロナウイルスと旅行意向に関する調査」を実施しました。
今回は調査結果の中から、ホテル利用について消費者の意向や考えをまとめました。本調査結果を是非ご活用いただけますと幸いです。

= 調査概要  =
■調査方法:インターネット調査
■調査期間:2020年6月5日~6月8日
■回答者数 : 1,909名■対象者  :過去1年間にビジネス又はプライベート目的で1泊以上の旅行をしたことのある20~69歳の男女

 

TOPICS①:ホテルの感染防止対策の重要度​

新型コロナウイルスの除去対策と3密回避のための対策を重要とする割合が8割強。対策は重要ではないと考える割合は1割を切る。

図1.ホテルが行う新型コロナウイルス感染拡大防止策として、次にあげるそれぞれの対策はどの程度重要だと思いますか。

現在、多くのホテルが新型コロナウイルス感染防止のための取り組みを行っていますが、それぞれの取り組みについてどの程度重要と思うかを尋ねました。
「重要+まあ重要」の割合が8割を超えたのは、「客室内への消毒液の設置」「レストラン・施設の収容人数の制限」「共用スペースの空間除菌」「チェックイン時のソーシャルディスタンスの導入」「フロントカウンターの飛沫飛散防止スクリーンの設置」といった、ウイルスの除去対策と3密回避のための対策でした。中でも「重要」の割合が高いのは客室への消毒液の設置や空間除菌といったウイルス除去対策で、自身の感染に対する不安の高さの反映と考えられます。
それぞれの対策を「重要ではない」とする割合は全ての項目で1割を切り、ホテルが実施する感染防止対策への関心の高さがうかがえます。

TOPICS②:ホテルの感染防止対策への協力​

感染防止対策への協力にも高い意向を示す。一方、自身のプライバシーが関係してくる対策には協力意向が低い傾向。

図2.旅行やホテルの宿泊に伴い、次にあげる新型コロナウイルスの感染症対策への協力を求められた際、あなたはどの程度協力したいと思いますか。

次に、宿泊者がホテルから求められる感染防止対策への協力意向について尋ねたところ、概ね協力的な姿勢が見られました。特に「手の消毒」は80%以上が「進んで協力する」と回答しました。もはや日常の風景に溶け込んだ手指の消毒ですが、ホテル利用時も例外ではありません。

また、「体調を崩した際の宿泊の取りやめ」に対しても77%が進んで協力する意向を示し、周囲に迷惑が及びかねない旅行や宿泊は控える、という意識の広がりの表れと考えられます。

一方、消極的な協力姿勢が明らかになったのは、「ホテル宿泊前後の自分のスマートフォンへの行動履歴の記録」でした。行動履歴の記録は、アプリや機能が広く知られていないため具体的なイメージがつきにくい部分があったことが想定されます。加えて、自身のスマートフォン上のデータを提供することで起きるプライバシー保護に対する危惧も協力への消極的な姿勢を招いていると考えられます。また、プライバシーにも関わりのある宿泊前後での「健康調査票への回答」も他の対策よりは協力率が低い傾向が見られました。​

 

TOPICS③:ホテルの施設・サービスの利用意向​

大半が感染対策は不可欠とした上で、利用意向は「温泉・浴場施設」で82%、「ビュッフェ形式の朝食」70%、「朝食以外のビュッフェ」69%。新形態の「ホテルのレストランのテイクアウト」は78%が利用意向あり。

図3.次にあげるホテルが提供するサービス・施設について、利用したいと思いますか。

 

近年、宿泊特化型のホテルを中心として、温泉・浴場施設の導入や朝食ビュッフェのバリューアップに力を入れるホテルが増え、宿泊者にとっての魅力となってきました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、大浴場の休止や朝食ビュッフェからセットメニューへの変更を余儀なくされるホテルが見られます。

本調査ではこれらを含む施設やサービスを、消費者がどの程度利用したいと考えているかを尋ねました。その結果、大半が感染症予防対策の実施を前提としつつ、「温泉・浴場施設」は82%、「ビュッフェ形式の朝食」「朝食以外のビュッフェ」は約7割の利用意向が見られました。しかしホテルのレストランのビュッフェには依然として根強い人気がありながらも、4人に1人は「利用したくない」と考えていることもわかりました。

また、これまでは業態としてはほとんど提供がなかった「ホテル内のレストランが提供するテイクアウトメニュー」の利用意向が78%となり、新たな需要が創出されていることがわかりました。外出自粛期間中、通常はイートインで利用するような飲食店のテイクアウトメニューを利用した人も多く、レストランのテイクアウトが新しい形態として根付いてきている様子がうかがえます。

 

TOPICS④:今後のホテル選定時の重視点​

「料金」(35%)「立地」(28%)「サービスの評判」(26%)に続き、「衛生に関する情報を明確に提供していること」(25%)が上位にあげられる。

図4. 次にホテルに宿泊するとしたら、ホテルを決める際に重視することを次の中から3つまで選んでください。

今後、ホテルを選択する際に何を重視するかを尋ねました。

「客室料金の安さ」が35%でトップ、「場所の便利さ」が28%で続きます。今回の調査で注目に値するのは「衛生に関する情報を明確に提供していること」が25%と、「サービスの評判のよさ」の26%、「利用したい宿泊プランがある」の25%という理由と並んで、上位の一角を占めるホテル選定時の理由となったことです。

パンデミック経験後、国際的なホテルチェーンの中には、衛生に関する認証の取得を目指したり、専門家と提携し独自の衛生基準を設ける動きも見られています。日本国内では未導入ながら今回試験的に加えた「衛生に関する認証制度を取得していること」について挙げられている割合は12%ですが、今後のホテル業界全体の取り組みにより関心が高まる可能性があります。

以上のことから、不特定多数の人が利用するホテルでの新型コロナウイルス感染に対する懸念が、ホテルの選定にも大きく影響し、「感染症対策」がホテル選びやクオリティの重要な要素になりつつあると言えます。

J.D. パワー ジャパン GBI部門 トラベルインダストリー
シニア・マネージャー 日高志津枝 コメント

「全国的な移動自粛の解除、観光庁による「Go To トラベルキャンペーン」の概要発表などにより、コロナ禍の約3か月を経てようやく消費者の意識が旅行へと向かいつつあります。
その一方で、新型コロナウイルスは消滅したわけではなく、今後の第2波も懸念されています。実際に今後6か月以内に旅行予定がある人のうち、半数は旅行中の感染を心配しているという調査結果が出ています。そのような不安を抱くかたわら、旅行中の感染拡大防止策に対しては消費者の協力意向が高いことも今回の調査で明らかになりました。
この数年間の動きとして、多くのホテルが差別化や顧客満足度向上のために注力してきた温泉・浴場や朝食ビュッフェなど、新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される施設・サービスに対しても「感染拡大防止策が取られているなら利用したい」という声が多く聞かれ、感染への懸念はありながらも一定の利用意向があることがわかりました。
また、今後のホテルの選定理由として、4人中1人は「衛生に対する情報提供」を挙げていることからも、ホテルの選定基準が変わってしまっている可能性を示唆しています。新型コロナウイルスのワクチンや治療薬が開発されるまでの一時的な変化かもしれませんが、ポストコロナの世界でも新たなウイルス発生の危険はありますので、ホテルによる徹底的な衛生管理と情報提供が、ホテル選定時の重要な要件となり続けていく可能性も十分にあります。

旅行需要が上向きになっている今、消費者の期待に応えるべくホテルが実施することは、徹底的な感染防止対策の実施と、旅行計画中の消費者がその内容が把握できるような情報伝達の仕組みを作り上げることと言えます。そして、それに加えて宿泊者にリラックスしてホテル滞在を楽しんでいただくサービスを提供することが、このような環境下であるからこそ求められていると言えます。」


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