矢野経済研究所は7月28日、ユニフォームレンタル市場に関する調査の結果を発表した。
1.市場概況
ユニフォームレンタル市場は2019年度までは東京オリンピック・パラリンピック開催やインバウンド(訪日外国人客)増加による需要増から、ユニフォームレンタル需要分野ごとに動向は異なるものの、概して順調に推移した。
しかし、2020年度以降は新型コロナウイルス感染拡大で状況が一転し、店舗や各種施設への休業や営業時間短縮要請や、インバウンド需要の消失、在宅勤務への取り組みなどで大きく需要が減少し、2020年度のユニフォームレンタル市場規模はレンタル事業者売上高ベースで前年度比3.1%減の938億円となった。2021年度は行動制限等が緩和されつつあるも景気悪化などの影響もあり、市場はマイナス傾向が続いており、2021年度の市場規模は同3.7%減の903億円にとどまった。
2022年5月の大型連休は「行動制限なし」で観光地での人の賑わいが見て取れ、市況の回復が期待される。2022年度以降のユニフォームレンタル市場はここ数年のマイナス基調からは回復の兆しが表れていくと予測する。ただし「コロナ禍前」の水準に戻るのは数年先とみられ、観光業の回復が市場に大きな影響を与える。人の流れが戻れば、あらゆる産業に好影響を与え、ユニフォームレンタル市場もプラスに動いていく見通しである。
一方、ウクライナ情勢を背景に資源高が進んでおり、原油価格の高騰でユニフォームレンタル業界では様々な問題が生じている。レンタル価格を値上げせざるを得ない状況となり、コロナ禍での需要減少下で経営をさらに圧迫している。各社の企業努力だけでは抑えきれない中で、難しい舵取りが求められる。
また、直近の円安の影響も含め、業界内外で様々な課題に向き合わなくてはならない。ポストコロナを見据え、新規開拓のための新たな取り組みも業界においても今後さらに重要となってくると考える。
調査要綱
1.調査期間: 2022年3月~6月
2.調査対象: ユニフォームレンタルを行う企業及びユニフォームメーカー等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mail等によるヒアリング調査、アンケート調査、ならびに文献調査併用
4.発刊日:2022年6月28日