【データ】「企業のDX推進における課題」に関する調査


 リンクアカデミーは10日、「企業のDX推進における課題」に関する調査の結果を発表した。

株式会社リンクアンドモチベーション(本社:東京都中央区、代表:小笹芳央、証券コード:2170)のグループ会社で、全国でキャリアスクール(「パソコンスクール アビバ」、「資格スクール 大栄」)を運営する株式会社リンクアカデミー(本社:東京都中央区、代表取締役:小栗 隆志、以下当社)は、従業員数300人以上の企業の①経営者 ②管理職(部長クラス)を対象に、「企業のDX推進における課題」に関する調査を実施しました。
近年、産業界における“デジタルトランスフォーメーション(以下DX)推進”が加速しています。

経済産業省および独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)によると、「DX」は単なる「IT化・デジタル化」ではなく、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。

従来のIT化やデジタル化とは異なり、DX推進はそう簡単にいかないのも事実でしょう。
では、DX推進における課題とは一体何なのでしょうか。
そもそも企業のトップである経営者と現場の管理職で、DX推進への意識に違いがあるのかもしれません。

そこで今回、全国でキャリアスクール(「パソコンスクール アビバ」「資格スクール 大栄」)を運営する株式会社リンクアカデミーは、従業員数300人以上の企業の①経営者 ②管理職を対象に、「企業のDX推進における課題」に関する調査を実施しました。

《自社のDX推進への意識と進捗状況》

  • DX推進を加速させ、業績アップを図りたい企業は86.8%。
  • しかし「全社的にDXが進んでいる」企業は23.2%に留まる。

はじめに、DX推進に関する意識と自社のDX進捗状況について調査しました。

「自社のDX推進を加速させ、業績アップを図りたいと考えていますか?」と質問したところ、経営者の回答結果は「とてもそう思う・そう思う(86.8%)」「あまりそう思わない(8.4%)」「全くそう思わない(4.8%)」となりました。

DX推進を加速させ、業績アップへと繋げたい経営者は非常に多いようです。 

続いて、「自社のDXの進捗状況について、最も当てはまると思うものを教えてください」と質問したところ、経営者・管理職を合わせた全体で「全社的にDXが進んでいる(23.2%)」という回答は2割強に留まり、3割強の企業は、DX推進が全く進んでいないことが明らかになりました。

DXへの意識は高いものの、実際にDXを推進する上ではハードルもあるのが実情と言えそうです。

《DX推進における課題-人的阻害要因-》

  • 経営者の35.8%が、DX推進における人的阻害要因は「管理職のシステム企画・推進・対応能力(ITリテラシー)不足」と回答。

DX推進を阻害する要因の中でも、特に重要な要素が、社内のITリテラシー不足など“人的阻害要因”です。

そこで経営者に対して「DX推進における人的阻害要因として、最も当てはまると思うものを教えてください」と質問したところ、「管理職のシステム企画・推進・対応能力(ITリテラシー)不足(35.8%)」が最多となり、以降「経営トップの意思決定の遅れ(27.4%)」「ベテランスタッフのシステム対応能力(ITリテラシー)不足(11.4%)」と続きました。

自らの意思決定の遅れも考えられるものの、それ以上に「管理職のITリテラシー不足」によってDX推進が阻害されていると捉えている経営者が多いようです。

《DX推進における課題-管理職の重要性-》

  • 89.2%が「DX推進において“管理職”の役割が重要となる」と回答。
  • 管理職への期待値の高さが窺える結果に。

では、DX推進における管理職の役割の重要性について、経営者はどのように見ているのでしょうか。

そこで、「DX推進において、“管理職”の役割が重要となると思いますか?」と質問したところ、「とてもそう思う・そう思う(89.2%)」という回答が約9割に達しました。

管理職がDX推進の結節点となると見ている方が圧倒的に多く、管理職に大きな期待を寄せている様子が窺えます。

《DX推進のために管理職に求めるスキル・有するスキル》

  • DX推進のために経営者が管理職に求めるスキルは「IT関連の知識やスキル」が57.9%でTOP。
  • しかしそのスキルを有していない管理職は63.9%に上るのが現状。
  • リンクアカデミーの法人研修で、管理職とメンバーのエクセルスキルを比較したところ、管理職のスコアが8%下回る結果に。

では、経営者は管理職に対して、どのようなスキルを求めているのでしょうか。

前の質問で「とてもそう思う」「そう思う」と回答した方に、「DX推進において結節となる“管理職”に、特に有しておいて欲しいスキルは何だと思いますか?」と質問したところ、経営者の回答は「IT関連の知識やスキル(57.9%)※」が最多となり、以降「プロジェクト推進力(14.4%)」「データ分析力(14.1%)」と続きました。

※「IT関連の知識やスキル」の具体的な項目は「十分なIT利活用スキル(ExcelなどPC活用、システム用語の理解など)」と「ITサービス・テクノロジー関連知識(最新のクラウドサービス、トレンド、コストなどの理解)」 です。

プロジェクトの企画力や推進力も当然ながら必要ですが、それ以上に「IT関連スキル」を有しておいて欲しいと考えている経営者が多いようです。

当の管理職はそれらのスキルに自信があるのでしょうか。

「ご自身は自社のDX推進計画を立案・推進するために必要な以下のスキルを有していますか?(複数回答可)」と質問したところ、管理職の回答では「ITサービス・テクノロジー関連知識」を有していない方が63.4%「十分なIT利活用スキル」を有していない方が63.9%という結果になり、DX推進において経営者が管理職に求めるスキルと、実際に管理職の有するスキルには乖離があるのが実情のようです。

では、管理職の方々は、自身のIT関連知識やスキルの習得に向け、学習や自己研鑽を行っているのでしょうか。

そこで、「ご自身はIT利活用スキル・IT関連知識の習得に向けて、具体的な学習・自己研鑽を行っていますか?」と質問したところ、管理職の回答は「しっかりと行っている(16.8%)」方は2割にも満たない結果となり、「あまり行っていない(30.2%)」「全く行っていない(7.3%)」と、行っていないという方が4割近くに上る結果となりました。

DX推進に必須である「IT関連の知識やスキル」に関する学習・自己研鑽を行っていない管理職の方々も決して少なくなく、スキルを有していると回答した方の割合が低かった背景には、「何から手をつけてよいか分からない」「知識が定着しない」「実践力に欠ける」など学習方法や内容の課題も推測できます。

実際に、リンクアカデミーが過去に実施したエクセル スキルサーベイ研修では、研修を受ける前段階のテストで、メンバーと管理職を比べると、管理職のほうがメンバーよりも8%スコアが低いという結果も出ています。
※研修受講前の「エクセル スキルサーベイ」受験者のうち、役職を選んだ方1,582名の各役職の平均点にて算出
「メンバー」の平均39.4点、「管理職」の平均36.2点(全体平均38.2点)

■エクセル スキルサーベイ実施概要
組織と社員のエクセル業務効率や課題を可視化し、最適な研修プラン立案や、研修効果を定量的に図るサーベイです。
所要時間:25分 ※25分以降の操作は可能。だだし時間点は大幅減点
内容:実際の業務を想定した「基本操作」「関数」「グラフ」「データ処理」の設問
配点:100点(操作60点/所要時間40点)

《DX推進を阻む人的要因・課題解決に向けた取り組み》

  • 実施している取り組みは「管理職向けIT研修」が37.8%で最多。
  • 理想の解決策も「管理職の(IT研修など会社主導での)育成」と管理職に関する項目が43.0%でTOPに。

では、DX推進における人的阻害要因や課題解決に向け、企業はどのような取り組みを行っているのでしょうか。

「DX推進の人的要因・課題解決に向けて“現在”どのような取り組みを実施されていますか?(上位3つ迄)」と質問したところ、経営者の回答は「管理職向けIT研修(37.8%)」が最多となり、以降「全スタッフ向けIT研修(34.4%)」「IT資格取得などIT自己研鑽の推奨(28.2%)」「社内IT人材の配置変更(24.6%)」と続きました。

従業員の中でも、とりわけDX推進の結節点となる管理職のIT研修に重点を置いている企業が多いようです。
これは、管理職のスキルに期待している経営者が多いことの証左とも言えるでしょう。

その一方で、「実施できていない」という回答も約15%に上り、対策を講じることができずにDX推進が停滞してしまっている企業も決して少なくないことが分かりました。 

では、現在の取り組み状況、あるいは取り組めていない現状を踏まえ、どのようにしてDX推進における人的阻害要因・課題の課題解決を図りたいと考えているのでしょうか。

経営者に「DX推進を阻む人的要因・課題をどのように解決したいと思いますか?(上位3つ迄)」と質問したところ、「管理職の(IT研修など会社主導での)育成(43.0%)」が最多となり、以降「全スタッフの(IT研修など会社主導での)育成(38.2%)」「IT資格取得などIT自己研鑽の推奨(22.6%)」「中途採用(専門職採用)の強化(21.0%)」「社内の配置変更(17.2%)」「社外パートナーとの提携、連携強化(15.8%)」と続きました。

既に行っている取り組みと同様、IT研修などによる管理職の育成に重点を置いている企業が多く、また、採用や配置変更などでDX推進における人的阻害要因や課題の解決を図りたいという経営者も少なくない様子が窺えます。

DX推進における管理職の役割は、やはり相当大きいと言えそうです。

《DXの実現に向けた組織の取り組み》

  • 自社のDXを実現させるためには、組織全体が一丸となって課題解決(IT人材育成)に取り組む必要があるという認識は経営者・管理職に共通している。

DX推進における人的阻害要因・課題の解決に向け、IT研修などによる管理職の育成を重視している企業が多いことが分かりましたが、自社のDXを実現させるには、管理職個々の学習や自己研鑽だけでなく、組織全体としての取り組みも大変重要と言えるでしょう。

そこで、「自社のDXを実現させるためには、組織全体が一丸となって課題解決(IT人材育成)に取り組む必要があると思いますか?」と質問したところ、経営者、管理職それぞれ「とてもそう思う・そう思う(経営者86.4%、管理職85.3%)」と、共に85%を超える結果となりました。

《まとめ》

  • DX推進のカギを握っているのは管理職と言えるが、スキル不足も否めないのが現状。
  • 管理職本人の研鑽も当然重要だが、研修の機会を設けるなど組織全体でサポートしていく必要がある。

DX推進は企業にとって喫緊の課題です。
そのため、DXの実現に向けて管理職に期待している経営者も多く、実現の可否は管理職がカギを握っていると言えます。

しかし、ITリテラシーやIT利活用スキルを身に付けるには、管理職本人だけでは限界があるのも事実です。
DX推進を加速し実現させるためにも、企業は管理職の研修に重きを置いて動いていく必要があります。
実際、管理職のIT研修などに重点を置いている企業も多いようですが、まだまだ人的阻害要因・課題の解決への道のりは長いのが実情のようです。

人的阻害要因・課題を可及的速やかに解決していくには、組織全体で課題解決に取り組み、管理職が手腕を発揮できる環境を作っていくことが大変重要です。
それによってDXを実現できれば、業績向上はもちろん、企業の成長にも大きく貢献すると言えるでしょう。

 
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