【テツ旅、バス旅 37】ときライナー 鎌倉 淳


 高速バスは安くて速くて便利な交通機関ですが、慣れていない人にはわかりにくい部分があります。どの会社がどの路線を運行しているのか、予約が必要なのか、バス停の位置がどこなのか。そもそも乗り方を知らない人もいますし、定時性に不安を抱く人も少なくありません。

 こうした高速バスの使いにくさを解消する取り組みを進めているのが新潟県です。高速バスのあり方を考える検討会を立ち上げ、その報告書を基に、県内で高速バス「ときライナー」の運行を開始しました。

 「ときライナー」は県内6社9路線の高速バスを統一ブランドで運行するというプロジェクト。利用者は一つのウェブサイトで路線や時刻を確認できます。

 全社でサービス水準を統一。予約不要で乗車でき、運賃はICカードで支払えます。車内にはフリーWi―Fiを装備。バスロケーションシステムを導入して現在位置の確認も可能になり、バス停の近くに駐車場を整備するパーク・アンド・ライドも推進します。

 要は、新潟県内の主な高速バスが「ときライナー」になるわけです。利用者は乗るまでに必要な情報を一つのホームページで得られ、どの路線でも同じサービスを期待できます。

 背景にあるのが、県内高速バスで利用者が減少し、運転手不足もあって減便や路線の縮小が起こり始めているという状況です。また、北陸新幹線の開業によりJR在来線特急が減り、県内で都市間移動がしづらくなったという事情もありました。そこで、県内の広域移動に高速バスをより効率的に活用しようと、ネットワーク全体を一体的に整えることにしたのです。

 時間が掛かる高速バスの市内周回を、フィーダー路線に任せるなどの効率化も検討します。運行の効率化で運転手の余剰を生み出せれば、路線拡大も可能になります。

 今のところ、「ときライナー」は新潟県内完結の路線だけが対象ですが、利用者としては東京方面など県外路線の情報も欲しいところでしょう。県外企業のバス路線を「ときライナー」に取り込むのは無理としても、県内に乗り入れる長距離バス路線の情報をホームページで紹介し、予約サイトにリンクを貼るくらいはできそうです。

 さらに発展して、バス停での待合環境の改善や、接続する二次交通の整備も期待したいところです。

 (旅行総合研究所タビリス代表)  

 
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