【テツ旅、バス旅 11】サロベツ線 旅行総合研究所タビリス代表 鎌倉 淳

  • 2021年3月18日

 北海道のJR宗谷線に豊富という駅があり、そこから稚咲内という集落まで14キロほどの路線バスが出ています。沿岸バスの「サロベツ線」で、途中、サロベツ湿原を横断し、日本海に面した稚咲内に至ります。所要時間は19分。茫洋(ぼうよう)とした原野を走り、彼方に利尻富士を眺められ、北海道らしい雄大な風景が満喫できる名路線として知られてきました。この路線が、3月31日をもって廃止となります。鉄道ならテレビのニュースになりそうなローカル線の廃止ですが、バスなので大きな話題になっていません。しかし、知る人ぞ知るバス路線の廃止なので、ファンからは惜しむ声が聞こえてきます。

 筆者がサロベツ線に初めて乗車したのは、1985年夏です。札幌からの夜行急行「利尻」で豊富駅に降り立ち、サロベツ線に乗り換えて、途中の原生花園を訪れました。このときは十数人の観光客が乗車していて、最果ての路線ながら、それなりににぎやかでした。

 当時の時刻表を調べると、冬季は1日4往復ですが、夏季には6往復も便があり、さらに稚内までの路線も2往復が設定されていました。北海道を国鉄の周遊券で回る若者が多い時代でしたし、それだけの利用者がいたのでしょう。

 その後、2000年代に、稚内に行く途中で豊富に立ち寄り、再び乗車してみました。このときはオフシーズンだったこともあり、観光客は誰もおらず、終点のバス停に寂しく降り立った記憶があります。鉄道とバスを乗り継ぐ旅行者が、このころにはいなくなっていたことを痛感しました。最近は冬季1日2往復、夏季3往復のみで、地元自治体の補助金を受けながら細々と運行するような状況でした。利用者は地元の方が中心だったと思われますが、少なかったのでしょう。

 ローカルバス路線の廃止は、日本各地でこの十数年、ずっと続いてきた流れですから、北海道の最果ての路線が消えることに、大きな驚きはありません。

 実際のところ、サロベツ線のように、廃止が多少なりとも話題になる路線のほうが少なく、各地のローカルバス路線は、気づいたらなくなっていたりします。おそらく10年前なら、サロベツ線も、筆者にとっては「気づいたらなくなっていた」ことでしょう。しかし、今はネットやSNSが発達して情報が得られやすくなり、最期を知ることができました。その点に限っては、いい時代になったといえるかもしれません。

(旅行総合研究所タビリス代表)

 

 
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