【シニアマイスター経営の知恵 107】ホテルにもたらす大きな変化とは NPOシニアマイスターネットワーク理事 櫻井宏征

  • 2020年6月14日

 発刊が待たれていたシニアマイスターネットワークと姉妹機関の日本宿泊産業マネジメント技能協会共有の基本図書であるホテルマネジメントテキスト集が、刊行の運びとなった。ホテル業らしく取り扱い範囲が極めて広いことは、半世紀以上前に東京オリンピック開催を控えて専門出版社から発刊され、今でも筆者の手元にあるホテル経営全集と基本的には変わらない。人の衣食住に深くかかわるホテル業としては、当然のことであろう。

 しかしながら、このたびのコロナ・ウイルスとの闘いは人の意識や経済構造を変えるといわれているが、ホテル業に及ぼす影響はどのようになるだろうか。関係者の誰もが疑い、あるいは恐れているような大きな変化はあるのだろうか。

 今回浮き彫りになったことは、今時の伝染病は極めて短時日に世界中に広まるというグローバリゼーションの現実である。このことは、先の疑問に対して何を暗示するものなのだろうか。ここから先は、現時点において考えられる推察にとどまることをお許しいただきたい。

 今回のコロナ禍対策がもたらす「新常態(ニューノーマル)」で、人の意識や雇用形態が変化するであろう、とは広くいわれている。キーワードはDX(デジタルトランスフォーメーション)、在宅勤務やリモートワークあるいはシェアリングビジネスの普及がその典型として挙げられている。しかしながら、ホテルにおける応用は、バックの運営管理系ではある程度進むものの、人への気配りをサービスの付加価値とする接客系においては顧客の利便性の向上にとどまり、期待される割には生産性の向上効果は限定的になるだろう。

 問題はむしろ、ホテル事業特有の部門別損益管理に大きく影響を及ぼしかねないものとして、FB系ビジネスの商品パターンに現れるのではないだろうか。「3密」を嫌うあまり、大量に集客するほど利益率の高まるイベント・コンベンション系や立食の宴会あるいはビュッフェレストランが敬遠されるとしたら、利益面に及ぼす影響は計り知れない。

 一方、グローバル化のますますの進展は、ホテル数そのものを増やしてゆく効果を持つと同時に、厳しい経済環境下、投資効率(ROI)の向上がより求められることになるだろう。短期での経営成果が求められる米国型のビジネスモデルが、さらに一般化するかもしれない。

 これらを跳ね返す幅広く力強いホテルマネジメント力が、改めて望まれる時が来た。

 (NPO・シニアマイスターネットワーク理事 櫻井宏征)

 
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