【コロナ新時代への提言】JTB ツーリズム事業本部 事業推進部 国内海外制作チームマネージャー 野浪健一氏

  • 2021年5月28日

野浪氏

「新しい旅のスタイル」の定着を

 新型コロナウイルスの感染が始まってから1年以上が過ぎたが、この間、観光業界は試行錯誤を繰り返しながらさまざまな感染拡大防止に取り組んできた。消毒、検温、換気、アクリル板の設置、ソーシャルディスタンスの確保、旅行会社店舗での予約制や旅館・ホテル、貸し切りバスでの利用定員制限など、感染拡大防止に効果があると思われることは積極的に取り入れ、お客さまに安心して旅行をしてもらうための努力を続けてきている。

 しかしながらこの努力は、お客さまの旅行行程においては「点」での取り組みであり、受け入れ側がその場、その時に必要と思われる対応はしているが、われわれが見えない部分でどのような振る舞いがなされているかは、お客さまに委ねるしかない状況だ。

 ウィズコロナ、アフターコロナ時代の新たな旅行スタイルの確立には、「観光業界が感染拡大防止策をしっかり行っていることをお客さまに正しく伝え、不安を取り除いていく」ことはもとより、「お客さまにも旅行者として感染予防、拡大防止の意識を持っていただき実行していただく」という受け入れ側と旅行者の双方の努力が必要だ。

 そして、観光業界は感染予防、拡大防止のための正しい知識の習得、ノウハウの蓄積による「プロ」としての対応を行い、一方でお客さまには新しい旅の楽しみ方を理解し、自分たちの命を守るための行動であることが自然に浸透している状態を目指さなければならない。

 国のGo Toトラベル事業では、旅行代金の割引やクーポンの発行による旅行需要喚起ばかりが取り上げられ、事業自体が悪のように言われているが、本事業は「新しい旅のエチケット」を提唱し新しい旅のスタンダードを作っていこうという考えで進められている。

 われわれ観光業界は、事業が一時停止している今だからこそ、その意味を再認識し、率先してお客さまに新しい旅のスタイルの意義を伝え、浸透させていく努力が求められているのではないだろうか。

 お客さまの行動を変えていくことはたやすいことではなく、地道な努力が必要だ。ただ、難しいことだと諦めてしまうと観光業界に未来はない。車のシートベルト着用や公共施設、飲食店での禁煙などは、当初は抵抗があったことも、関係者の努力の積み重ねと、命を守る取り組みであるということが浸透し、広く受け入れられるようになった例ではないだろうか。

 非日常の空間で心身ともに豊かさを与えてくれる「旅」は、人間が生きていく上で「必要なこと」に他ならない。だからこそ、命を守る取り組みとしての「新しい旅のスタイル」定着は観光業界にとっては社会的使命であると肝に銘じ、めげずに根気強く伝え続けなければならない。

 

 

 
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