【コロナ新時代への提言】全日本ホテル連盟会長・ホテルリバージュアケボノ社長 清水嗣能氏


清水氏

「新しい物語を、観光業界から。」

 「全日本シティホテル連盟」は創立50周年を機に、名称を「全日本ホテル連盟」へと改めた。シティホテルの集まりではないからである。きっかけは50周年ということと、もう一つこれからの50年のあるべき姿を見直しMVVを策定したからである。この聞き慣れないMVVとはミッション、ビジョン、バリュー(行動指針)のことであり、ドラッカーやコトラーも提唱していてアメリカの企業は当たり前のように作っているものである。すなわち、自分は何のために存在し、何を目的としているのかを明らかにすることである。全日本ホテル連盟はそのミッションとして「時代のニーズを捉え、革新性をもって、会員ホテルの価値向上を支援するとともに、観光立国の実現と地域の発展に寄与する。」とした。これまではややもすると自分のホテル経営に有益な情報を得ることを目的に集まっている組織であったが、その目的を地域社会に貢献するための組織として生まれ変わった。大きな変革であると思っている。

 そのミッションに基づく具体的行動として、4月13日に松本市において「新しい物語を、松本から。」と題して第1回目の地域活性化タウンミーティングを行った。示唆に富む内容であり、小学生から市長まで参加して、大きな感動を与えた。手法としては、ホテル連盟が自らの存在意義を改めた実例を示しながらMVVについて説明を行い、開催都市の特性や目的地として選ばれる理由を浮き彫りにするため、実際に現地で観光産業に携わっている方々などがパネリストとして登壇し、MVVに基づいたまちづくりの考え方をすり合わせていく。今回、逆に教えていただいたこととして、観光都市松本の強みは、小学生の時から観光まちづくりのビジョンを持っていることである。ビデオをとおして各自が松本の将来ビジョンを発表し、参加者の多くが驚きとともに感動した。

 コロナ禍は、個人であれ、会社であれ、また団体組織であれ、街や国さえも自分を見つめ直すチャンスであり、新たな行動を起こすときであると前向きに捉えたい。MVV策定はそのために、たいへん有効な手法であり、全日本ホテル連盟はこのMVV策定を手段として、これからも全国で地域活性化タウンミーティングを開催していく予定である。
最後に、ホテル連盟は自らのMVVを凝縮し昇華した言葉をステートメントとして次のように表現した。

 「新しい物語を、ホテルから。」。

 このホテルから、というのは会社としての自分のホテルであってもいいし、ホテルを利用されるお客さまが、個人のいい思い出づくりの1ページとして刻む、という意味であってもよい。前向きに、変革していく気概を助長する言葉であり、「新しい物語を、観光業界から。」という言葉に置き換え、今の業界に捧げたい。

 
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