【オマツリジャパンの毎週祭日 73】フェティッシュな盆踊りオリジン 奇祭ハンター・まっく


顔が見えないからこそ幻想的?

西馬音内盆踊り(秋田県羽後町)

 今回は別名「亡者踊り」の異名を持つ、幻想的な秋田の奇祭、西馬音内盆踊りを紹介する。

 西馬音内盆踊りは、日本三大盆踊りの一つと言われ、毎年8月の盆踊りの時期に秋田県の羽後町で開催。700年以上の歴史があり、13世紀に源信という修行僧が蔵王権現(現・西馬音内御獄神社)の境内で行っていた豊作祈願の踊りが起源と言われている。

 これに西馬音内城主だった一族が滅び、遺された家来たちが君主をしのんで行うようになった亡者踊りも後に合流。そのためか、西馬音内盆踊りでは2種類の衣装による2種類の踊りが踊られる。

 衣装に関しては、一つは、編み笠に端縫い衣装というスタイル。端縫い衣装は大小の絹布の端切れをパッチワークしたもので、中には100年以上のヴィンテージものもあるのだとか。

 もう一つは亡者踊りらしい彦三頭巾を被った覆面姿に藍染め浴衣といういでたち。どちらも誰が踊っているのか顔は見えず、古来の盆踊りが宿していたであろう原初的でフェティッシュな魅力をたたえる。

 踊りのほうは、「音頭」と「がんけ」の2種類。「音頭」は手、腰、足の洗練された美しい所作に対し、それを煽(あお)るように囃(はや)し立てる秋田弁のガヤ(地口)とのギャップが特徴的だ。それはまるで京都発の典雅なモードを地方のストリート流に着崩したかのよう。

 一方、「がんけ」は囃子(はやし)がおとなしくなって朗々と歌い上げる感じ。曲もしっとりと哀調が漂う。しかし踊りの足のステップには回転が加わり、砂利の上でズザザザザザと立つ音がまた耳に心地良い。

 最近は出張公演などで、秋田県以外でも見る機会が増えてきた西馬音内盆踊りだが、光源の少ない中での幻想的な雰囲気は現地ならではのもの。一生に一度は現地で見ることをお勧めする。

 ちなみに誰でも被ると亡者になれる「彦三頭巾」は、盆踊り会館の向かいの並びにある呉服屋さんで千円ほどで購入することができる。

(奇祭ハンター・まっく)

【オマツリジャパン】
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顔が見えないからこそ幻想的?

 

 
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