【オマツリジャパンの毎週祭日 65】ねぶた祭の幻想的な最後の姿 お祭りエッセイスト・大塚史織

  • 2021年2月1日

船上から手を振る人々と後ろに上がる花火

青森ねぶた祭(青森市)

 6日間続いたねぶた祭、最終日の夕暮れ時。昨日まで街中で熱狂していた大観衆たちが、この日はぞろぞろと青森港に集まり、皆で海を見ている。

 毎年8月のねぶた祭最終日は、その年披露されたねぶたのうち、大賞などを受賞した選りすぐりの作品が海上を運行し、約1万発の打ち上げ花火と一緒に祭りのフィナーレを飾ることになっているのだ。

 昨日までは街中で大勢に引き回され、上下左右にうねり、暴れ、大迫力を見せていたねぶたが、今日は海面にぼんやりとその姿を反射しながら、別れを惜しむようにしっとりと光をたたえて、順番に私たちの前を通過していく。

 ねぶたを引っ張る船の上からは、昨日までねぶたと一緒に飛び跳ねていた人たちが、あの「ラッセーラ」の掛け声と共に港にいる私たちに大きく手を振ってくれていた。

 「ラッセーラ」と手を振り返しながら、お祭りもこれで終わりかという寂しさがいよいよ増してきた頃、花火がスタート。港にいる人たちから「わあっ」という声が上がった。

 日が落ちたばかりの空と海の色、ねぶたの温かな光と花火が合わさり、幻想的な雰囲気が一層高まって、感極まりそうになる。きっとここにいる皆も、私と同じ気持ちだろうと思えてしまうほど、きれいな光景だった。

 ところで、ねぶた祭で使用するあの大きなねぶたは、ねぶた師という職人の手によって毎年新しく造られている。つまり、いま光っている今年のねぶたたちを私たちが見られる時間は、後はこの花火が上がっている間だけ。なんてはかないのだろうか。祭りの潔さに自分の気持ちがついて来ない。こんなにみんなで騒いで、飛び跳ねて、楽しんだのに。

 花火の間、明日からの自分は大丈夫なのかと不安すら覚えていたが、最後の花火が上がる頃には、自分の気持ちもなんとなく片付いていることに気がついた。心配は要らない。明日という日は、また来年の熱狂に向かう第1日目なのである。

(お祭りエッセイスト・大塚史織)

【オマツリジャパン】
日本初の祭りサポート専門会社。「祭りで日本を盛り上げる」を目標に掲げ、祭りのコンサルティング、プロモーション、日本最大級のWEBプラットフォーム運営など、地方創生に取り組む。https://omatsurijapan.com

船上から手を振る人々と後ろに上がる花火

     
 
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