【ウィズ・アフターコロナ時代の観光】飛騨・高山観光コンベンション協会 会長 堀 泰氏に聞く

  • 2021年3月31日

堀会長

公式観光HPを一本化 「高山ハブ化」構想推進

 新型コロナウイルスの流行は飛騨高山観光にも大きな影響を及ぼし、観光名所・古い町並などを歩く観光客の姿がめっきりと減った。逆風にあえぐ観光業界だが、その中で新しい芽も育ち始めている。飛騨・高山観光コンベンション協会の堀則会長(ひだホテルプラザ会長)に観光復活に賭ける思いを聞いた。聞き手は論説委員の内井高弘。(3月上旬、協会事務所で)

 ――2020年は新型コロナウイルスが猛威を振るい、観光業界も大きなダメージを受けました。高山はいかがでしたか。

 「大変厳しい状況で、ここまで客足が落ち込んだのは初めてです。19年は473万人の入り込みがあったのですが、20年は230万人にとどまりました。宿泊客も同様で、227万人から107万人と減少しています。外国人観光客も10万9千人ほどで、前年比8割減となりました。1~2月は万単位で来ていたのですが、4月以降はガクッと減りましたね」

 ――コロナの影響で売り上げが減少し、倒産や廃業に追い込まれた旅館・ホテルはありますか。

 「それまで景気が良かったこともあり、高山市内で大きな倒産はありませんでした。廃業は1軒あったものの、これは後継者の問題と聞いています」

 ――20年はコロナの影響もあり、春の高山祭は規模を縮小しての開催となりました。今年はどうなるのでしょうか。

 「例年通り、春(山王祭)は4月14、15日に開催します。神事は行いますが、屋台の曳き揃えやからくり奉納、夜祭りは中止となります。ただ、屋台蔵に入っている屋台は見ることができます。秋(八幡祭、10月9、10日開催)については現段階では何ともいえませんが、ワクチン接種も始まっており、また東京五輪・パラリンピックも終わっていることから、通常通り開催できるのでは、と期待しています」

 ――イベントも軒並み中止になり、暗いムードになりがちですが、明るい話題はありますか。

 「飛騨地域限定の電子地域通貨『さるぼぼコイン』を活用した『スマホでお得旅キャンペーン』を20年7月から開始したこと。市内の旅館・ホテルが造成した宿泊専用プランをじゃらんネットから予約した宿泊客に対し、予約額に応じたさるぼぼコインのポイントを最大8千ポイント(8千円相当)プレゼントするもので、市内での消費拡大につながりました。キャッシュレス化への対応ができたのは大きな成果で、今後につながる動きです」

 ――外出自粛で遠出が制限される中、近場の観光、いわゆるマイクロツーリズムが注目されましたね。

 「コロナ下ならではの観光の在り方の一つだと思うが、どこに行こうか悩む人も多いのでは。高山にしても町村合併でエリアも広く、東京都とほぼ同じ面積です。効率的に回ってもらおうと、20年12月に『濃色 飛騨高山』というハンドブックを5万部作りました。有名な観光スポットはもちろん、その場所でしか味わえない体験などを網羅しており、利用者の評判もいいようです」

 ――情報発信体制も変わったようですね。

 「これまで、観光の公式ウェブサイトは市のホームページと当協会のホームページの二本立てだったのですが、今年1月に統合され、協会が運営することになりました。自治体ではいろいろな制約がありますが、民間ならではの発想で使い勝手のいいサイトにします。API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)連携を進め、例えば、宿泊予約ではじゃらんのサイトを入れ、グルメではホットペッパーと連携しています」

 「コロナの影響で逆風が吹く中、これらの事業ができたのは特筆すべきことだと思います。観光関係者の知恵と工夫のたまものです」

 ――首都圏4都県の緊急事態宣言が再延長されるなど、先行きは依然として楽観できません。今後の見通しはいかがですか。

 「上期はコロナの影響が残ると思いますが、宣言が解除され、Go Toトラベル事業が再開されると事態は大きく改善すると思います。ワクチン接種の効果も徐々に出てくるだろうし、安全安心が担保されればお客さまはきっと戻ってくる。旅に出たいという欲求は強いだけに、今年はともかく、1~2年もたてば完全に元に戻るのではないでしょうか。外国人観光客も然りです」

 ――観光客の受け入れという点では、高山は群を抜いていますね。JR高山駅を中心に雰囲気がずいぶんと変わっています。

 「旅館・ホテルの建設ラッシュは続いており、今年もホテルウイングインターナショナル、HOTELaroundTAKAYAMAなどが新規オープンする予定です。20年4月現在のルーム総数は約3200ですが、24年4月には4千を超えそうです。地方都市で4千というのは非常に大きな数字で、近辺では名古屋や金沢ぐらいです」

 ――供給過剰にならないかやや心配ですが、それだけあるといろいろなニーズに対応できますね。

 「コロナで旅行形態も大きく変わり、個人・グループ化はより顕著になる。従来型の団体旅行市場は縮小していくでしょう。日本には富裕層向けの施設が少ないとよくいわれますが、高山にもラグジュアリーホテルの建設計画があり、それらが開業すると選択肢は大幅に増え、さまざまな宿泊ニーズに応えることができます」

 ――MICEの誘致も熱心ですね。

 「宿泊施設に加え、市民文化会館や飛騨高山ビッグアリーナなどコンベンション施設も充実しています。施設の規模、機能に関しては県内随一だと思います。また、近い将来、8千人ほどの収容能力がある施設ができる予定で、これがコンベンション施設として利用できれば大規模会議にも対応できます」

 「会議の誘致も成果が表れ、日本政府観光局(JNTO)の『国際会議誘致・開催貢献賞』(20年度)に、19年9月に高山で実施された国際会議の主催団体(第5回貨幣革新・地域通貨国際会議飛騨高山大会組織委員会)が受賞しました。約350人が参加し、うち外国人は21カ国・地域から約50人でした」

 ――堀会長は、高山を起点にさまざまな観光地に行ける「高山ハブ化」構想を掲げていますね。

 「マイカー需要の取り込みや2次交通網の整備も進み、永平寺や上高地、立山黒部アルペンルートなど主要観光地も1日圏内に入り、ワンデートリップの基地として十分な機能を果たせるようになっています。コロナの流行で観光業界は厳しい状況にありますが、高山観光の先行きは明るいと捉えています。コロナが落ち着いたらぜひ高山に来ていただきたい。お待ちしています」

【聞き手・内井高弘】

堀会長

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