前号では2022年の振り返りを行ったが、今号では、これからのホテル旅館業界について述べたいと思う。例年通り多分に主観が入った内容ではあるが、ご容赦いただきたい。キーワードは今年も三つに絞り、「採用マーケティング強化」「高付加価値化(2年連続)」「サスティナブル」としたい。
まず「採用マーケティング強化」についてである。現在、宿泊業界が未曽有の人手不足であり、今後このことが解消される見通しは立っていない。すなわち従来の「待ちの採用スタイル」では人材を獲得できずに、採用をマーケティング活動と捉えて求職者に選ばれる活動をしていかねばならない。
詳細は本コラムでも何度も取り上げたので割愛するが、採用スタイルを変えない限りは人材の獲得が難しい時代に突入してしまった。
続いて「高付加価値化(2年連続)」であるが、2年連続でランクインさせるほどにやはり重要なワードである。来年度も観光庁による「高付加価値化事業」が発表されており、22年の動きを見ていると、本事業を活用して改装した宿とそうでない宿とでは商品力に大きな差が生まれそうな気配がある。
昨今、さまざまなものが値上がりをしたことで、宿泊施設も値上げを断行しているが、やはりそこに価値が伴わないとお客さまの評価は厳しくなる一方である。確かな付加価値を付与できた宿だけが値上げをスムーズに行うことができ、結果として増収増益となりスタッフへの還元も可能となる。それは、そのまま前述の採用力にも直結していく流れとなる。
最後は「サスティナブル」である。一部のOTAからサスティナブルな取り組みについての登録項目の依頼があったが、ここ最近非常に活発化した印象である。気候変動問題など人類全体で取り組むべき問題とされており、政府も「カーボンニュートラル宣言」をするなど、もはや義務に近い形でこれらの取り組みは今後、企業に求められるようになる。消費者の意識も変わりつつあり、「サスティナブルな取り組みをしていない企業からは物を買わない」という動きも広まっていくであろう。
本格的なアフターコロナを迎えつつあるが、人手不足や物価上昇など新たな課題が持ち上がっている。しかしながら、課題に対してのなすべきことは明白なので一つずつ取り組んでいく2023年としたい。
(アビリブ・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)