さる6月23日に九州運輸局主催で、九州内のバリアフリーツアーセンターが一堂に集う「広がる!高齢者、障がい者等の旅行がスムーズに!~九州ユニバーサルツーリズム広域ネットワーク連絡会~」が開催されました。
緊急事態宣言が明けたばかりということもあり、「アルコール消毒液の設置」「各出席者同士の間にアクリル板を設置」「各テーブル間も空ける」「演台にもアクリル板を設置」というコロナ感染防止対策を講じた上での会議でした。
国土交通省総合政策局バリアフリー政策課、観光庁観光産業課からは担当者がオンラインで参加されて、最初に国の政策の説明がありました。
続いて、会場に集まった九州7県のバリアフリー観光窓口の責任者たちの活動発表がありました。
福岡県では、2019年に福岡空港到着口に「しょうがい者・こうれい者観光案内所」が新設されました。車いすやベビーカーを借りることができ、福岡だけでなく、九州全域の観光地のバリアフリー情報も得られます。
佐賀県では、全国でも先進的な取り組みをする嬉野温泉が、福岡の民間救急「らかん」と提携し、寝たきりの状態でも嬉野温泉まで来てもらえれば温泉入浴ができるというサービスを実現。
バリアフリー相談案内窓口30年という大ベテランがこれまでの経緯を語ったのが熊本県。長崎県では壱岐や軍艦島といった離島や文化遺産への案内準備を進めているそうです。
おんせん県・大分では、昨年「ぱらべっぷ」という別府温泉の観光ガイドブックが評判を呼びました。
宮崎県は観光協会がバリアフリー相談窓口を兼ね、鹿児島県では屋久島などの離島のバリアフリー情報に加え、指宿温泉の砂蒸しでの入浴介助サービスも好評です。
こうした特色豊かな活動が行われている九州のバリアフリー観光は日本のユニバーサルツーリズムをけん引しています。しかし優れた相談窓口があるにもかかわらず、これまでは各県が独自に活動してきました。この日の連絡会によって、よりよいサービスを提供していくための連携が必要であることを明確化しました。
バリアフリー観光案内所を利用するお客さんに対しては、情報提供にも細やかさが必要ですし、お客さんの状態によって欲しい情報は異なります。そうした個別の案内をしてきた九州各県の相談窓口は、豊富な経験値とスキルを併せ持っていますから、手を取り合えば、どんなに素晴らしい案内ができることでしょう。
例えば、長崎空港からだと長崎県内の温泉に行くよりも、佐賀県の嬉野温泉の方が近い。よって嬉野温泉に案内する方が、お客さんには親切なわけです。
九州のこの連絡会が軌道に乗り、良き先行事例となって、いずれ日本中でバリアフリー観光の情報ネットワークができる。その日を夢見て、私も微力ながらサポートしたいと思っています。
最後にこのような素晴らしい会議にお招きいただきました九州運輸局・岩月理浩局長、事務局として奔走しておられた交通政策部・脇野正博部長、古賀秀策次長、バリアフリー推進課・末吉博昭課長、そして準備してくださいました九州運輸局の皆さまに心より感謝を申し上げます。
(温泉エッセイスト)