海女文化が根付く地
第1064回よその旅館ホテル
――創業は。
「海女だった大女将が初代『豊八』から一字と、鳥羽の南・相差の豊かな海をなぞらえ1966年に旅館『豊浜』を開業しました。76年に海の青、空の青が望める高台に移転。その後、リニューアル時に改名しました」
――海から近い。
「徒歩1分で行けます。海水浴場では、夏休みに無料で地引網漁体験や、海女が漁をする様子が見られます」
――食事は。
「鳥羽出身で、19年には三重県の名匠に選ばれた料理長が、鮮度の良い地元の魚介類などを調理。伊勢エビの舟盛りなどを提供しています。今はワカメが旬で、黒に近い色が緑に透き通る生ワカメのしゃぶしゃぶはぜひ味わっていただきたいです」
――風呂の特徴は。
「三重中西部の社宮司温泉から泉質の良い湯を運んでいます。風呂からは、海、山、田園風景が望めます」
――客層は。
「30代の家族連れ、20代のカップルが多いです。力を入れて改装したロビーには、ハンモック、ドクターフィッシュなどを用意。笑い声が絶えない場所となっています」
――地域の魅力は。
「相差は日本で一番海女が多い場所。貝などが食べられる海女小屋など、海女文化を体感できます。また、女性の願いを一つ叶える『石神さん』目当てに訪れる人も多いです」
――一方、課題は。
「伊勢神宮への参拝者は日帰りが多く、宿泊への取り込みが不足しています」
――将来は。
「コロナ禍の自粛で楽しみ方が増え、旅館も多様性が求められています。他では味わえない食事など、新しい旅館ならではの体験を提供していきたい」
【38室、平日1泊2食1万6600円から(税込み)】