「県民割にクラスターない」 32県の知事、県単位のGoTo再開要望


 新型コロナウイルス感染症に伴う国の緊急事態宣言が21日に全国で解除されたが、感染の再拡大への警戒感から、Go Toトラベル事業の再開の見通しは立っていない。政府は原則的に事業の再開は全国一斉としているが、昨年末以来、全国での事業停止期間は3カ月間に及ぶ。地方からは、観光関連産業の厳しい状況を踏まえ、各県それぞれに実施している宿泊割引などの「県民割」でクラスターが発生した事例がないことなどから、感染状況が落ち着いている県単位での事業再開を早期に求める声が強まっている。

 Go Toトラベル事業について赤羽一嘉国土交通相は19日の会見で、「今すぐの再開は簡単ではない。全国的に(感染状況が)ステージⅡ相当以下になり、安心して観光を楽しめるような状況になることが大前提だ」と述べ、当面は感染防止に注力し、早期の再開には慎重な姿勢を示した。

 ただ、大都市圏などと比較して感染状況が落ち着いている地方では、Go Toトラベル事業の地域限定での早期再開を求める声が根強い。18日には、32県の知事が連名で「Go Toトラベル事業の段階的な再開に係る緊急要望」をまとめ、政府、与党に提出した。

 緊急要望では、本格的な観光の再生には東京都など大都市圏の旅行需要の喚起が不可欠としながらも、「まずは感染状況が落ち着いている県単位で早急にGo Toトラベル事業を再開する」ことを求めた。県単位から段階的に利用対象エリアを拡大するなど、各県の意向なども踏まえて制度を柔軟に運用するよう要望した。

 赤羽国交相は18日、32県の知事による緊急要望の呼び掛け人を務めた鳥取県の平井伸治知事から緊急要望書を受け取った。これに対して赤羽国交相は19日の会見の中で、事業再開は「国の事業として全国一斉で行うのが原則」と説明したが、「要望を重く受け止め、国交省としてどのような支援ができるか検討する」との考えを示した。

 Go Toトラベル事業については、観光庁の蒲生篤実長官も19日の会見で、「再開は当面難しい。全国での再開を基本形として、然るべき時期の再開を模索したい。事業の在り方をさまざまな観点から検討している」と述べた。県単位からの事業再開の要望については、「政府として適切に検討する中で、どういうことができるのか、観光庁としても検討したい」と述べるにとどめた。

 32県知事による緊急要望では、現状について「旅行マインドは一層冷え込み、観光関連産業では極めて厳しい状況が続いている」との認識を示した上で、地域経済の活性化に大きな役割を果たしている観光関連産業の維持、発展に向けて、Go Toトラベルの再開に強い期待を寄せた。

 県単位での早急な再開を求める根拠となる受け入れ態勢については、「安心して観光客にお越しいただくことができるよう、観光関連事業者と連携して感染防止対策の徹底を図ってきた」「感染状況が落ち着いている地域では、独自に宿泊割引等の観光需要の喚起を行っているところだが、これまでにクラスターが発生したとの報告はない」と強調した。

 この他、Go Toトラベル事業の期間についても、観光関連産業の回復には「相当の期間を要する」こと、段階的に対象エリアを広げた場合に「地域間に不公平が生じる恐れがある」ことから大幅な延長を要望。観光関連事業者に配慮した事務の簡素化、制度変更の際の十分な事前周知も求めた。   

 
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