観光地域経営フォーラムは、有給休暇を完全取得すれば16兆円の経済波及効果が得られ、188万人の雇用創出が可能になるとの試算結果をまとめた。完全失業率が5%台後半を記録するなど雇用確保が大きな問題となっているが、大規模な財政出動をしないでも内需が刺激できるとあって、休暇改革の必要性を強く訴えている。
試算によると、日本の労働者が未取得の年次有給休暇(約4億3千万日)を完全取得すると、GDP(国内総生産)の約3%に相当する約15兆6300億円の経済効果が得られる。
また、休暇の増加による代替雇用の創出などを合わせると約187万5千人の雇用が確保できるとした。これは「完全失業者の約52%を解消できる計算だ」と同フォーラム。
日本の有給休暇取得率は先進国の中でも低い状況にあることを踏まえ、フォーラムは休暇に関する法制度を見直すよう提言。具体的には、(1)ILO132号条約第8条2項で定める、2労働週の連続休暇を労働者に保証する(2)連続休暇の取得時期は労働者の希望を聞いた上で使用者が決定する──などした。
さらに、計画年休制度にも言及し「連続休暇の取得時期の決定に当たっては、労使により計画年休制度を最大限に活用する取り組みを進める」よう求めた。
休暇取得時の受け皿作りについては、(1)公的機関が運営する博物館や美術館など文化、レジャー施設は年中無休化(平日休業の撤廃)(2)行政機関窓口、公立病院などの公共サービス機関の年中無休化(休日の営業日化)を進める(3)観光圏の整備などをさらに進め、滞在型休暇を楽しめるプログラム、環境を整備する──ことなどで対応。「公的機関が先頭になって取り組みを進めるべきだ」と強調した。
同フォーラムは民間と地域が連携し、観光を中心とした地域活性化を目指す。代表幹事は麻生渡・福岡県知事、須田寛・JR東海相談役、福川伸次・機械産業記念事業財団会長、望月照彦・多摩大教授の4氏が務める。事務局は日本生産性本部余暇創研。