「日本文化遺産を守る会」が発足


 有形登録文化財の指定を受けた建造物や、これに匹敵する建造物を所有する全国の旅館・ホテル27軒は9日、「日本文化遺産を守る会」を創立した。会員同士が連携して個々の施設が抱える維持管理の悩みや施設の活用方法の共有や、保護保全にかかわる官公庁に対する働きかけなどを行うとともに、世界に誇れる日本の文化遺産としての価値を国民にアピールし、社会を挙げた保護保全への機運向上につなげたい考えだ。

 9日、群馬県の法師温泉長寿館で創立会議を開き、定款、初年度の役員などを決議した。設立会議開催時点では、庄屋屋敷を利用した宿として名高い新潟・高島屋や、クラシックホテルとして知られる長野・万平ホテルなど27軒の旅館・ホテルが参加意思を表明。青森・酸ケ湯温泉など複数施設も加入を予定する。

 会長には、佐藤好億氏(朝日旅行協力会会長、福島・大丸あすなろ荘)が就任。名誉会長には岡本博行氏(奈良・菊水楼)、副会長には村上昇男(静岡・落合楼村上)、飯島雅弘(長野・旅館花屋)、岡村建(群馬・法師温泉長寿館)の各氏が就いた。また会員資格を朝日旅行との観光旅行券契約を結ぶ施設としたことから、池田浩・朝日旅行常務も理事に名を連ねた。

 具体的な活動としては、有形無形を問わず文化財の保護と保全、後世への継承のための勉強会や、文化的な旅の創造のための勉強会を開催し、会員同士の情報交換と連携を図っていくほか、朝日旅行と協働して、旅行商品の開発や共同宣伝を展開する。また会員の実態把握のための宿情報の調査、収集や、予約機能を持った会の公式ホームページの構築なども今後検討したい考えだ。

 同会事務局によると、96年に文化財登録制度が導入されて以降、登録有形文化財、近代化産業遺産に登録されている建造物は約8千軒あり、このうち旅館・ホテル、飲食業を営む建造物は80軒超。文化財としての制約を嫌って登録を受けていない施設などもあり、文化財に匹敵する文化遺産を持つ旅館・ホテルはさらに多くあるという。

 佐藤会長は「文化的な価値を持つ旅館・ホテルは数多くあるが、横の連携を取り合うのは初めて。歴史ある多くの施設が会の設立の趣旨に賛同してくれたのはありがたい。後世に残すべき施設や文化の価値向上に、連帯感を持って取り組みたい」と意欲を語った。

 日本文化遺産を守る会の発起人は以下の通り(敬称略)。

 佐藤好億▽岡本博行▽佐藤和志(秋田・鶴の湯温泉)▽小山田明(秋田・樅峰苑)▽小杉和雄(栃木・日光金谷ホテル)▽宮山逸郎(神奈川・富士屋ホテル)▽村上昇男▽岡村興太郎(法師温泉長寿館)▽島田美智子(新潟・松之山温泉凌雲閣)▽飯島雅弘▽井沢啓(朝日旅行)

 
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