日本の成長戦略の柱である観光で東日本大震災からの早期の復興を目指そうと、経済界と観光業界が一体となり結成された、震災復興観光推進国民会議(会長・西田厚聰日本観光振興協会会長)は12月19日、「観光で復興を。仙台シンポジウム〜日中国交正常化40周年に向けて」を仙台市の電力ホールで開いた。約900人が参加した。
西田会長は冒頭の主催者あいさつで「中国政府は震災後直ちに緊急援助隊の派遣や義援金など心ある援助の手を差し伸べてくれた」と感謝の意を表明。その上で「10年のアジアからの観光客は652万人でうち2割の141万人が中国からだった。12年の日中国交正常化40周年での交流を効果的に行い、東北、日本の訪日観光客の増加促進につなげたい」と述べた。
これに対して韓志強・中国駐日本臨時代理大使は「被災地域にいた中国人達を周囲の日本人が支え、面倒を見てくれたことに中国の人々は皆感動している。今回の災難によって中日両国の人民の心は一層近づいた」と応えた。さらに「12年は両国関係史において大きな節目の年。観光は両国の人民にとって最良の懸け橋になる」と話した。
続いて、村井嘉浩・宮城県知事、奥山恵美子・仙台市長、石川好・日中国交正常化40周年記念実行委員会企画委員長、松山良一・日本政府観光局理事長(震災復興観光推進国民会議・顧問)、大塚陸毅・JR東日本会長(同・副会長)、新田嘉弘・平田牧場グループ会長(東方水上シルクロード貿易促進協議会会長)が次々とあいさつ。
基調講演は二階俊博・ANTA会長(震災復興観光推進国民会議・顧問)による「日中観光交流の回顧と展望」。二階会長は「東日本大震災から日本の再生を果たすためには観光の振興によって地域経済を活性化することが極めて重要だ。観光が明るくなれば、世の中は必ず明るくなっていく」と強調。また「この40年間で日中の基幹産業に発展した観光を土台にし、互いに協力し合って40周年の記念事業を展開していくことが内外から期待されている。シンポジウムをきっかけに、東北の復興と同時に日中間ともに力を合わせて、観光交流がアジアの発展、平和につながっていくことを確信して、皆で努力していくことを誓い合おう」と場内に呼びかけた。
パネルディスカッション「東北における日中交流促進の効果と期待」では、又野己知・観光庁次長、高橋宏明・東北観光推進機構会長(同・副会長)、舩山龍二・日本観光振興協会副会長(同・副会長)、浜田健一郎・ANA総合研究所社長、今崎慎司・郵船クルーズ社長が登壇。司会は、月尾嘉男・東京大学名誉教授が務めた。
最後に、金井耿・JATA会長(同・顧問)が「12年の日中国交正常化40周年に向け、双方の交通基盤の拡充と必要な環境整備等を推進し、東北地方をはじめ日本各地と中国との交流を積極的に推進することをここに決議する」と決議文を読み上げ、満場一致の拍手で同決議を採択した。
同日のシンポジウムの模様は、中国の国営テレビ局CCTVが同時通訳付きで中国に流した。
基調講演する二階ANTA会長